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元米副大統領のアル・ゴア氏が訴える地球の危機

永井美智子(編集部)2007年01月16日 01時50分
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 クリントン政権下で副大統領を務め、2000年の大統領選挙で現在の米大統領であるブッシュ氏に破れたアル・ゴア氏。彼は全米規模のコンピュータネットワークを構築するという情報スーパーハイウェイ構想を提唱した人物として知られる。現在でもAppleの取締役やGoogleのシニアアドバイザーを務めるなど、テクノロジー業界に縁の深い人物だ。

 そのゴア氏が今、心血を注ぐのが地球温暖化問題だ。彼の講演をまとめた映画「不都合な真実」が米国で公開され、大きな話題を呼んでいる。ロサンゼルス映画批評家協会賞の最優秀ドキュメンタリー/ノン・フィクション映画賞をはじめとして多くの賞を受賞しており、1月20日からは日本でも公開される。

 この映画の公開に先立ち、1月15日、東京都内の映画館でプレミアム試写会が開かれ、ゴア氏がこの映画や地球温暖化問題に寄せる熱い思いを語った。

アル・ゴア氏 ゴア氏は「日本語の危機という字は、機会という意味も含まれている。この映画が温暖化問題を考える機会になってほしい」と呼びかけた

 ゴア氏は地球温暖化問題を「人類史上最大の危機」と指摘する。気温の上昇によって海面が上昇して陸地が減少するほか、気温の変化によって生態系が変わり、植物や動物が絶滅する恐れがある。温暖化は着実に進行しており、止まる気配はない。

 地球の平均気温は20世紀の間に約0.6度上がったと言われており、このまま行けば2100年にはさらに1.4〜5.8度上昇するという予測もある。「たいしたことないと思うかもしれないが、これが自分の子どもだったらどうだろう。体温が36度の平熱から5度上昇して41度になったとしたらかなり重大な問題だ」(ゴア氏)。もし自分の子どもが熱を出せば、ただちに病院に行って医者のアドバイスに従うだろう。同じように、温暖化の問題には、警鐘を鳴らす科学者たちの声に耳を傾けるべきだとゴア氏は訴える。

 ゴア氏は1960年代後半から温暖化問題に取り組んでおり、1997年に採択された京都議定書の交渉にも尽力した。米国では連邦議会が議定書の批准を渋り、ブッシュ政権になってからは議定書からの離脱を正式に表明している。この点についてゴア氏は「本来なら米国がリーダーシップを発揮すべき分野だ」として現政権を批判。同時に、この会議で議長国を務めた日本には、引き続き温暖化問題でリーダーシップを発揮して欲しいと期待を寄せた。

 地球の温暖化は進んでいるが、ゴア氏は「いろいろな解決策が出てきており、時間もまだ残されている」と語る。二酸化炭素の排出量を減らすような技術も登場しており、足りないのは「行動する意志」(ゴア氏)というわけだ。不都合な真実のウェブサイトには、誰でもできる取り組みとして「白熱電球を電球型蛍光灯に交換する」などの方法が挙げられている。

 映画を通じて温暖化の問題を世界中に訴え、1人1人がこの問題を解決するための一員になって欲しいと語るゴア氏だが、再び政治の世界に戻るつもりはないのだろうか。ゴア氏に聞くと、このような答えが返ってきた。「再び立候補するつもりはありません。この温暖化問題がいかに切迫したものであるかを世の中に伝え、解決に結びつけるための活動で手一杯ですから」

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