Microsoftが「Windows Vista」を企業向けに発売し、その発売月の売り上げが予想を上回るものだったことが、NPD Groupの発表したレポートで明らかになった。
NPD Groupが米国時間1月11日に明らかにしたところによると、Vistaの売り上げは「Windows 2000」の発売月の数字を上回り、「Windows XP」のときを若干下回る程度だったという。12月のVistaの売上は、2000年3月のWindows 2000発売月の数字を62.5%上回った。しかし、これはWindows XPが2001年11月の発売月に記録した数字を3.7%下回っている。
さらにNPDは、Vistaの平均価格がWindows 2000より約4%高く、Windows XPとほぼ同額だったことも明らかにしている。
NPDのアナリストChris Swenson氏は電子メールでインタビューに答え、「この結果は『堅調』あるいは少なくとも『予想以上』と言えるものだと思う。Vistaの発売後最初の1カ月の売上はXPのときをやや下回ったが、Microsoftが企業向けに絞った『スロースタート』のアプローチを取って同OSを投入したことを考慮すれば、12月の結果は見事だと思う」と語った。
Swenson氏によると、この数字は、SoftMart、Software Spectrum、およびCompuComなどの販売代理店経由で、企業に間接的に販売された米国向けライセンス数を集計したものだという。NPDでは、Microsoftから直接ライセンスされたものは集計していない。Vistaは11月末に企業向けに発売されており、2007年1月末以降は一般向けに新しいPCへの搭載や店頭販売が始まる。
そして、消費者向けの発売時には大々的なマーケティング活動が展開され、企業向けVistaの売り上げがWindows XPの数字を徐々に上回るようになるはずだ。
「Microsoftが1月30日にVistaを一般向けに発売し、マーケティングキャンペーンを展開していけば、商業チャネルでのVistaの売り上げはいずれXPの数字に達するか、それを上回るものになるだろう」とSwenson氏は語っている。
Vistaを巡っては、企業がどれだけ早く新OSに移行するかが1つの重要な問題になる。Microsoftでは、ビジネスユーザー数はVistaの発売後1年でWindows XP発売後1年の倍に達する予想だという。
Microsoftはその台数については正確な数字を示さなかった。ただ、発売後1年でビジネスPCの約10%がWindows XPを導入していたとする調査会社IDCの数字を挙げた。一方、Vistaを導入する企業が1年以内に20%に達するとは思えないと、IDCでは述べている。
Microsoftが自社の目標を達成できるかどうかを大きく左右する要因の1つが、2007年の新しいコンピュータの売上ペースだ。Microsoftは先ごろ、ノートPCやデスクトップPC向けにWindowsを販売する部門の売上は、その80%を新しいPCが占めている、と指摘している。
「商業チャネル向けのソフトウェアの売り上げは今後の企業の動向を見る指標にはなる。だが、ビジネスにおける新OSの成功を予測する際に本当に重要なのは、商業チャネルにおける今後数カ月のPCの売上を見ることだ」とSwenson氏は語っている。
Swenson氏の指摘によると、「Windows Vista Ultimate Edition」を選ぶ企業は多くないという。この最上位バージョンが消費者を主なターゲットにしていることを考えれば、それもさほど驚くことではない。
しかし同氏は、「小規模企業が新OSで最も魅力的な『BitLocker』機能を試すにはUltimateを購入するしかない」ことも指摘する。「BitLockerは、Appleの『FileVault』のようにOSのボリューム全体を暗号化する新しいセキュリティ機能」だという。
BitLockerは「Windows Vista Enterprise Edition」でも利用可能だが、ボリュームライセンスのみの販売となっている。そのため、小規模企業の大部分では選択肢とならない。
「MicrosoftがUltimateを小規模企業やそのほかの機関に積極的にマーケティングしていくとすれば、商業チャネルでも徐々にUltimateの売り上げが伸びるかもしれない」(Swenson氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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