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女性ベンチャーキャピタリストだから話せる、VCの魅力と苦労とは - (page 4)

永井美智子(編集部)、田中誠2006年12月25日 08時00分
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勝屋:これからベンチャーキャピタリストを目指したいと思っている女性や、今頑張っている女性ベンチャーキャピタリストにメッセージをお願いします。

遠藤:最近いろんな事件がありましたが、私はVC側にも問題があったと思うんです。まっとうでない会社を世の中に出してしまった責任ですね。ですから過度なマネーゲームに陥らない、きちんとした会社を世の中に出したいという思いを常に持っていて欲しいですね。一攫千金を夢見ることがいけないわけではないですが、それだけでこの業界に入ってくるのはやめて欲しいです。

落合:私は新卒で業界に入ったので、当初は食い込みたいと思っている会社に結局何もできなくて悩むことが多くありました。でも、そんな何も知らない新人でも、受け入れてくれる社長さんはいらっしゃるのですね。優秀な方であればあるほどそんな若造にもいろいろと教えてくれて、しかも「いろいろと気付かされることがあった」と言ってくれたりします。ですから、例え経験がないとしても、自分が何かしらの形でベンチャー企業の成長に関わっていきたい、少しでも貢献したい、と思う人に入ってきてもらえたらと思います。

長谷川:これは私自身の教訓でもあるんですが、自分がやりたいと思ったことや、これは何かの役に立つのではないかと思ったことを、きちんと考えてやるということですね。思考をストップさせるのは簡単ですが、やりたいと思ったことに対してどうしたらいいのかを常に考えることによって自分が成長できると思うんです。まわりは結果しか見てくれないかもしれませんが、その過程は自分の自信になると思います。

勝屋:皆さんの将来の目標は。

遠藤:私は今の仕事を大きな組織でやりたいとは思ってないんです。最終的にそれがどこの会社になるのかは分かりませんが、自分がいる会社のファンドから投資を受けているのはいいよね、と言われるような質の高いVCを作りたいと思っています。日本といえばあのファンドと言われるようなものを目指したいですね。

落合:最近、またベンチャービジネスが面白くなってきたなと思っています。従来はBtoCのビジネスモデルの会社が効率的に利益を出すには、対象とする顧客を富裕層に設定する場合が多くありました。でも、Web 2.0の時代になって、対象となる顧客層が格段に広がったのが面白いと思っています。

 具体的には、先日ノーベル平和賞を受賞して話題になったグラミン銀行のようなマイクロクレジット(小額無担保融資)などのビジネスモデルが、もっとうまくいく時代になる気がします。そうなるとVCの対象になる企業も増えると思うのですよね。今までグラミン銀行のようなところはNGOなどがやるもので、VCの対象ではなかった。でも今後は、我々のビジネスの対象になるかもしれませんね。常にそういった広い視野でビジネスに関われるベンチャーキャピタリストになれたらいいなと思います。

長谷川:私は会社の名前だけがあるような人間にはなりたくないんです。VCで働くのに資格は必要ないですが、プロフェッショナルな世界だと思うので、出資者からも投資家として信頼されるようになりたいです。長谷川だから信頼できると言われるようなベンチャーキャピタリストになれればいいなと思っているので、そのためにいま何をすれば良いのかを常に考えながら日々過ごしています。

勝屋:ほかの方は将来的な独立は考えませんか。あるいは自ら起業するという選択肢もあると思いますが。

遠藤:独立は考えていませんね。私自身がそんなに何でもできるというわけではないので、いろんな力を使える立場の方がいいかなと思っています。起業は一時考えたこともありますが、今は考えてないです。やっぱり全然違うタイプの仕事だと思うので、私はこの道のプロフェッショナルになりたいと思います。

落合:独立に関しては、あわよくば、と思っています。同期でも独立志向が最初からある人は多いですね。最初はそんなこと考えていませんでしたし、今でも10年くらいは先の話だろうと思っていますが、先ほども言ったように貧困層がビジネスパートナーになると実証できたら面白いなとは思っているんです。

長谷川:まだまだ勉強中なんですが、弊社の社長である小池や業界の多くの先輩など、目標となる人を見ていると、憧れだけが募ります。今はいろいろなことを覚えている段階ですが、将来的には私も独立ができたらいいなと思っています。向上心だけは誰にも負けないつもりなので、夜寝る前にいろいろなビジネスを妄想していると楽しいですよ(笑)

対談を振り返り--勝屋 久

 対談中、3人をみているとキラキラ輝いていて、きっと今を生きているんだなと感じ、とても気持ちが良かった。ベンチャーキャピタリストは人ときちんと向き合えるコミュニケーション能力が特に大切とよく言われるが、人間関係の作り方、仕事のやり方は人それぞれで、男だからとか女だからとかは関係はない。ただ、女性だから持てる視点や優しい気遣い、自然に人と人をつなげることができるなど、ベンチャーキャピタリストに求められる資質としてプラス面があることにも気づいた。

 発展途上の日本のVC業界において女性の活躍できる可能性は大きいと思います。遠藤さん、落合さん、長谷川さん、そして女性ベンチャーキャピタリストの皆さんを心から応援し、皆から愛され尊敬される女性ベンチャーキャピタルリストがどんどん生まれることを楽しみにしてます。

IBM Venture Capital Group ベンチャーディベロップメントエグゼクティブ日本担当
勝屋 久

1985年上智大学数学科卒。日本IBM入社。1999年ITベンチャー開拓チーム(ネットジェン)のリーダー、2000年よりIBM Venture Capital Groupの設立メンバー(日本代表)として参画。IBM Venture Capital Groupは、IBM Corporationのグローバルチームでルー・ガースナー(前IBM CEO)のInnovation,Growth戦略の1つでマイノリティ投資はせず、ベンチャーキャピタル様との良好なリレーションシップ構築をするユニークなポジションをとる。7年間で約1800社のベンチャー経営者、約700名のベンチャーキャピタル、ベンチャー支援者の方々と接した。Venture BEAT Project企画メンバー、総務省「情報フロンティア研究会」構成員、ニューインダストリーリーダーズサミット(NILS)企画メンバー、大手IT企業コーポレートベンチャーキャピタルコミュニティ(VBA)企画運営、経済産業省・総務省等のイベントにおけるパネリスト、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の中小ITベンチャー支援事業プロジェクトマネージャー、大学・研究機関などで講演、審査委員などを手掛ける。ベンチャー企業−ベンチャーキャピタル−事業会社の連携=“Triple Win”を信条に日々可能な限り多くのベンチャー業界の方と接し、人と人との繋がりを大切に活動を行っている。

また、真のビジネスのプロフェッショナル達に会社や組織を超えた繋がりをもつ 機会を提供し、IT・コンテンツ産業のイノベーションの促進を目指すとともに、 ベンチャー企業を応援するような場や機会を提供する「Venture BEAT Project」 のプランニングメンバーを務める。

趣味:フラメンコギター、パワーヨガ、Henna(最近はまる)、踊ること(人前で)

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