サンフランシスコ発--Al Gore元米国副大統領は米国時間12月14日、聴衆として集まった科学者らを前に、科学者は率先して人々に気候変動の危険性を訴える必要があると語った。
Gore氏は、当地で1週間の日程で開催されている科学カンファレンスAmerican Geophysical Union(AGU)にて、数千人の聴衆の前で講演した。講演の中で同氏は、「今こそ科学コミュニティーは、(地球温暖化の危険性に対する)啓蒙活動により積極的に取り組むよう検討すべき時だ」と訴えた。
Gore氏は、気候変動は異常かつ恐ろしい状況にあると指摘した。一例として挙げられるのは、地球温暖化の影響が加速しているように思われる点だ。ちょうど今週、同カンファレスで発表された報告書によると、北極の永久氷床が2040年までにほとんど溶けてしまう可能性があるという(以前は2060年と予測されていた)。
Gore氏は、「(北極氷床が)溶けてしまったら、人類が知りうる大きさにまで回復することはない」とし、さらに「(研究者らの)予測が、34年後と知ってショックを受けた」と語った。
しかし、一般の人にこの問題を理解させ、その解決に向け行動させることは容易ではない。人類は何としてでも天然資源の使い方を大幅に変える必要があるが、大規模な社会変化を浸透させるのは困難だ。避けようのない悲劇的な災害が発生して初めて改革の動きが始まるのが常となっている。
あげくの果てに、社会では物事を考えられる期間が一層短くなってきている、とGore氏は主張する。テレビが一般人の集中力の持続する時間を短くしてきた。今や政治家らは一晩の世論調査に集中している。また金融アナリストらは、ますます短い期間で見通しを立てている。未来はあまり注目されない、と同氏は語る。
「われわれは、今われわれが未来の世代に対して行っていることについては大して心配する必要はないと何らかの形で自分自身に言い聞かせてきた」(Gore氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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