Jason Calacanisといえば、自ら立ち上げたブロガーネットワーク、Weblogs Inc.を昨年AOLに売却後、同社のNetscapeをDiggとよく似たユーザー参加型ニュースサイトにつくり替えた人物(最近では、AOL部門責任者だったJonathan Millerの退任に連れ添う形でAOLを離れた後、さっさと名門VCのSequoia Capitalに加わったことが話題になっていた)。そのCalacanisが米国時間12日に自身のブログに「Out the social news scammers (and take a C note off the table)」および「First digg scam outed? Please help me confirm.」というエントリをポストしている。
この話の伏線となったのは、米国時間12月4日にCNET News.comのElinor Millsが出した「The big Digg rig(「Diggで大がかりな不正操作」といった意か)」。Millsは、11月21日にNial Kennedyというブロガーが書いたポスト「The Spam Farms of the Social Web」を手がかりに、DiggやReddit、Deliciousといったユーザー参加型ニュースサイトやソーシャルブックマークなどでの実体について調査を進めている。
この記事によると、一部のマーケティング会社は顧客企業から一件あたり最大で1万5000ドルの料金をもらい、顧客企業に関するコンテンツを提供。このコンテンツがDiggなどで人気記事となるように、Diggユーザーに働きかけ、その費用の一部をこれらのユーザーに支払っている可能性があるという(顧客企業は、プロモートを依頼した当該コンテンツを掲載するサイトへのリンクが増えることで、検索結果で上位に表示され、他の手法よりも割安にSEO対策ができるとのメリットを得る)。
また、その他に、User/Submitterというサイトでは、「3つの記事にdiggするごとに0.5ドルを支払う」「1話投稿するごとに20ドル、プラス1diggごとに1ドルを支払う」と謳っている。さらに、このほかにいくつかの不正と思われるプロモーション手法が使われているようだ。
さて。Calanicasは今回まず「Out the social news scammers (and take a C note off the table)」のなかで、「こうした不正行為の糸を引いているマーケティング/広告会社の名前や、それらの会社が送りつけてきたメール(=具体的な証拠となるもの)、問題の投稿のURL、そして金銭を受け取った人間についての情報を知らせてくれた人には、100ドルの報酬をPaypalで支払う」と告知。さらに、その後公開した「First digg scam outed? Please help me confirm.」では、「SuperNova 17という名のDiggユーザーがこうした不正操作に関わった疑いでDiggから閉め出された」というMuLifeと名乗るブロガーの話(「The Supernova17 Story: What Actually Transpired (Confirmed Facts)」)に言及しながら、「この話の実体を知りたい」と述べている(なお、このSuperNova 17はその後Diggに復帰できたという。また、Mu Lifeでも「これはあくまで未確認情報」と自分のエントリに記している)
国内でも先月、女子大生で雑誌モデルを務める女性が、企業から金銭的な対価を得ながら、しかもそのことを明らかにしないまま商品・サービスを進めるブログを書いていたことがNHKで報道され、激しい反発を招くという事件があったばかり。Consumer Generated Mediaの特質を取り違えた(または故意にそのスキにつけ込む?)作為的な行いが明るみに出されれば問題が生じることは洋の東西に関係ないことが、このことで明らかになったといえよう。「はてブ(はてなブログ)」や「newsing」といった国内の各サービスでも、今後影響力がいっそう高まるに連れて、現在DiggやDeliciousが直面しているこのような問題に対して何らかの対策を迫られる日がやってくるのだろうか。
PS:
Engadget Japaneseでは、昨日(12日)にも以下のような米国の例が紹介されている。こうした種類の誤った「口こみマーケティング」の流行は今後も当分なくならないのだろうか・・・。
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