Simone Kaplanさんは子どものころ、アメリカンフットボールにはまったく興味はなかった。Lawrence Taylor、Phillip SimmsといったNew York Giantsの選手たちも大嫌いだった。
現在30歳のKaplanさんは、「父がNFLのNew York Giantsの大ファンで、シーズン中は、テレビに向かって突然叫ぶのが怖くてびくびくしていた」と言う。NFLはアメリカンフットボールの米国プロリーグ。男たちが発情期のシカのようにぶつかり合うのを見るのが面白いとはとても思えなかったそうだ。ただし、これはKaplanさんがファンタジーフットボールの魅力に取りつかれる前の話である。
最近のKaplanさんは、朝起きると、ワイドレシーバーの移籍情報をくまなくチェックし、彼女のチームで起用するランニングバックを決めるため、次から次へと入ってくる分析データを検討している。フットボールの試合がある日曜の朝になるとクォーターバックのごとく立ち回る彼女の変わりように、婚約者のCurt Coteさんはとても驚いたと言う。Kaplanさんは今、Coteさんが主催するリーグで最も強気な監督の1人に名を連ねるまでになった。
「今日の昼にも彼女から電話があって、狙っていたMiami Dolphinsのディフェンスを別の参加者に取られたと愚痴をこぼされた」とCoteさんは言う。未来の妻であるKaplanさんにリーグ戦で既に負けている彼は、「早くも調停が必要かもしれない」と笑う。
ファンタジーフットボールを筆頭にさまざまなファンタジースポーツの人気が高まるに従って、当初は熱狂的なファンだけだったサイト利用者は次第に一般層にも広がり、ESPN.comやYahoo Sportsなどではトラフィックが急増している。
2005年は、1400万人を超える数の大人たちがファンタジーリーグで競い合った。Fantasy Sports Trade Association(FSTA)によると、2006年の参加者数は前年比14%増の1600万人に上ると予想されている。ESPN.comは、第3位の規模を誇るファンタジーフットボールリーグを擁するが、9月のサイトトラフィックは前年同月比で17%上昇した。同社の幹部は、同サイトのファンタジーリーグのおかげだとしている。
しかし、トラフィック急増という成果は、ビジネスストーリーの半面に過ぎない。サイト運営者は、極めて熱心なファンという武器を手に、広告主にアピールできるのだ。FSTAによれば、ファンタジースポーツの参加者がチーム管理に費やす時間は、週平均3時間だという。
「ファンタジーリーグには、ブランドマネージャーやスポーツマーケティング担当者が望むものがすべてそろっている」とFSTA委員長のJeff Thomas氏は話す。「ファンタジースポーツの参加者は、ほかではまず見つけられないほど積極的なコンシューマーだ」
ファンタジーリーグの3強Yahoo Sports、CBS SportsLine.com、ESPNの戦略では、ファンタジーリーグが生む「交流」という側面を重視してきた。ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の先駆けとして、MySpace.com、Facebook、Friendsterといったサイトを思い浮かべる人がいるかもしれないが、ファンタジーリーグこそ最初のSNSだったのだ。
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