最近では街で見かけるポスターや雑誌の広告などに「詳細はQRコードでアクセス」といった形でQRコードを使ってモバイルサイトへ誘導するといった動きが盛んだ。今回はQRコードをはじめとして、モバイルを利用したプロモーションやマーケティングが今どうなっているのかを説明したい。
モバイルを利用したプロモーションやマーケティングが発展してきた大きな理由の1つに、企業の販売促進活動におけるキャンペーンでの活用がある。従来、キャンペーンの応募形態は、ハガキなどが主流であったが、モバイル端末の普及、とりわけブラウザの進化によって、「いつでも」「どこでも」応募が可能な環境が整備され、加速度的にモバイルの活用が増えていった。
電通テックでは、iモードのサービスが始まった1999年より、キャンペーンでの活用を企画提案し、クライアントの課題解決方法の1つとして実施してきた。その中で、「インターネット応募によるクローズド懸賞を行う方法及び記録媒体」に関する特許を取得し、「Digi-motion」としてサービスの提供をしてきた。
サービス開始当初、Digi-motionを用いたキャンペーンでは、携帯電話に比べてPCからの応募が多かった。携帯電話からの応募比率は、2001年でも大手キャリア3社を合計しても実績比較値で30〜40%程度であったが。その後、携帯電話の普及率と比例して2005年に45〜50%となり、2006年には55%前後まで伸びてきている。もちろん企画の内容やクライアントの製品が対象とするユーザーの年齢層にもよるが、この成長には非常に注目している。
この成長の背景には、インターネットの視聴者人口の急伸率がある。視聴者5000万人の到達まで、ラジオで38年、テレビで13年、CATVで10年かかったが、インターネットでは1995年から5年間でそれが達成されるほど、その成長は著しかった。また2006年には、PCでのインターネット接続数を携帯電話でのインターネット接続数が上回ったという報告もされている。Digi-motionでのキャンペーン参加者の内訳を見ても、携帯電話からの応募者年齢層も幅広くなっている。2000年では10〜20代が80%以上を占めていたものの、2005年には30〜35歳が最多年代となり、35〜45歳の層も20%を超えている。
このような経緯を経て、現在、モバイルを利用したプロモーションやマーケティングは、消費者にとっての「利便性(いつでも、どこでも)」や提供するクライアントにとっての「斬新性(手法の目新しさ)」といった従来の特性が当たり前のものとなっている。また、クライアントのマーケティング活動においては、ウェブ広告が必要不可欠な要素となっており、消費者においては、ウェブやフリーペーパーなど、上質なコンテンツが無料で使える時代となっていることも見逃すことはできない。
この状況の中でモバイルマーケティングソリューションを提供する企業に求められることは、クライアントのマーケティング活動全体を熟知したうえで、最適な提案をできることである。具体的にはメディアにおいては、最適な「既存メディア(新聞や雑誌、テレビ、ラジオ、屋外広告など)×ウェブメディア」というクロスメディアの組み合わせを作りだし、プロモーションにおいては、最適な「クリエイティブ×ウェブプロモーション」や「イベント×プロモーション」といった組み合わせを創出していくことと言える。多くのクライアントは、すでにウェブの中でのクロスメディア提案を求めることが日常的となり、その効果測定にも当然大きな関心を持っている。
今後この流れはますます加速し、モバイルを活用したプロモーションやマーケティングは、その価値を証明しなくてはならないこととなっていくだろう。その意味において、改めて消費者行動の詳細な分析やメディアのパフォーマンス測定は、提供するソリューションに必ず組み込む必要があるだろう。
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