ビル・ゲイツ氏に聞く--Vista、Linuxなど - (page 2)

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2006年11月30日 19時14分

--Windowsはほぼすべてのコンピュータに搭載されていますが、コンピュータは世界のほぼすべての人に行き渡っているわけではありません。Microsoftは長年、コンピューティング人口を増やす方法を模索してきました。社内ではPCの価格を下げること以外に、携帯電話を手近の画面と組み合わせ、PCライクなデバイスとして利用するといったアイデアも検討されてきました。こうしたアイデアはコンピューティングの普及に貢献すると思いますか。

 人によって、コンピュータに求める性能はさまざまです。3000ドルのゲーム用PCを買い、最高の買い物をしたと考える人もいれば、200ドルのPCを買う人もいます。幅は非常に広いのです。

 (携帯)電話をうまく利用できれば、コンピュータそのものの性能はさらに下げることができるでしょう。3000ドルどころか、200ドルのPCにも届かない--たとえば50ドル、60ドルの範囲です。それでも、ブロードバンドネットワークは利用できませんが、ネットワーク機能は備わっています。

 考えられるシナリオはいくつもあります。テレビをディスプレイとして利用したり、キーボードをつないだりすることもできます。AC電源を使えば、(プロセッサの)クロック速度を少し上げることもできるかもしれません。この分野では、インキュベーションチームが最初のとっかかりとなる活動を行っています。しかし、これは(PCに)取って代わるものではありません。

 「共同利用型PC」に取り組んでいるチームもあります。これは図書館やカフェに設置されているPCを利用します。ユーザーはファイルを入れたUSBスティックを持参するだけで構いません。そう遠くない未来には、(サーバ)クラウドの中から必要なファイルを呼び出すことができるようになるでしょう。学校、図書館、コミュニティセンターでは、このモデルは非常に重要です。われわれはこのモデルを米国のすべての図書館で実施し、多くの教訓を得ました。このモデルは他の国々にも移植されました。

 電話のプロジェクトは、当社にとっては新しい取り組みです。まだ始まったばかりですが、ハードウェア業界からは映写用チップの供給を受けています。複数の通信会社と話をしたところ、彼らもこのアイデアを気に入ってくれました。このように、やり方はいろいろあると思います。

 PCの価格が下がる一方で、多用途電話の可能性はますます広がっています。ご指摘の通り、われわれはすべての人--特に子どもたちが学習の一環として、この種のアクセスを利用できるようにしたいと思っています。

 私の夢は、タブレットコンピュータの価格を下げ、教科書よりも安価に入手できるようにすることです。そうすれば、すべての子どもたちがタブレットコンピュータを持つことができるようになるでしょう。この夢を実現するために、鋭意努力しているところです。

--スタンフォード大学での講演をお聴きしましたが、「Bill Gatesが2人いる」とは言わないまでも、2つのまったく異なる視点が存在していると感じました。あなたは世界の繁栄はゼロサムゲームではないと語る一方で、Microsoftの長としては、あらゆる面で「われわれはナンバー1か、ナンバー1の座に迫る企業でありたい」と述べています。この矛盾をどう解決しますか。

 矛盾はありません。この2つは完全に同じものです。米国のようにインフラが整備され、経済が安定している環境では、企業が最善を尽くして戦うことが消費者に利益につながります。

 Googleの社員はナンバー1になることを目指しています。一方、当社の社員はここで最もやりたいことに全力投球します。それぞれの国で需要のあるものが市場に選ばれ、イノベーションが非常に速い速度で進んでいます。

 経済全体を見渡しても、PCほど著しく性能が向上し、価格が下がったものはありません。このような産業で働くのは楽しいですね。しかし、怖さもあります。

 本当に安定した仕事がしたいなら、この業界は向いていません。WangやDigital Equipmentといった企業の末路を思い出してください。どちらの企業も、若かりし頃の私の憧れでした。角を曲がり損ねたり、人材の選択を間違ったりするだけで、状況は大きく変わります。出社するたびに、「今日うまくやれば、あと1年は会社を持たせることができるかもしれない」と思うようになります。

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