ソフトバンクモバイルの一部利用者で、ネット閲覧などの追加サービスを自覚しないまま利用してしまい、予想外な上乗せ料金を請求されかねない問題があることが、11月28日までに分かった。主力料金プランの加入者で、ネット接続サービスを希望しない人がその対象で、対象者が自覚せずにネット接続サービスを利用し、課金される恐れがある。
同社はすでに対象者に向けて告知メールを配信し、対応策も検討しているという。ただ、現時点では抜本的な問題解決を行う予定はなく、複数の利用者が思わぬ高額請求を訴える事態にも発展しかねない。
格安として展開する同社の主力料金プランは「ゴールドプラン」。同プラン利用者がネット閲覧や他キャリア宛てにメールを送信するには、別途、「S!ベーシックパック」に加入する必要がある。
今回の問題は、11月25日から「S!ベーシックパック」の未加入者が端末に標準搭載されているネット接続ボタン(Y!ボタン)押下後にネット閲覧を続けるなどすると、ネット接続サービスの利用を希望していると見なされ、同サービスが自動で適用されて加入したことになってしまうというもの。
事実上、利用者は希望しないサービスに強制加入させられる可能性が高いことに加え、それを知らずにネット閲覧を続けると、思いもよらない「S!ベーシックパック」の利用料金が請求されることにもつながりかねない状況にある。昨今のケータイコンテンツは大容量化が進んでおり、定額制料金プランなどに加入していないと、数千円から数万円の高額な通信料がかかることもあり得るためだ。
これについてソフトバンクモバイル広報は「店頭での説明を行っている。また、11月21〜23日にかけ、すでに対象者向けにメール(SMS)をし、これに返信いただければ(ネット接続サービスを)利用できない状態にすることができるので、問題はない」としている。対象者が自覚せずにネット接続サービスを利用してしまう可能性については、「問い合わせをいただいた場合の対応を現在検討中」とした上で、「これはシステムトラブルではなく、特に悪意を持ったことでもない」とした。
ただ、携帯電話業界関係者によると「ネット接続サービスを希望しない利用者が知らずに当該サービスを利用でき、その後に追加料金が発生する状況は極めて不自然」という見方もある。このような不自然なサービスを提供する意図については、「ソフトバンクモバイル利用者同士であればS!メールを無料でご利用いただけるので、これを使っていただきたいのでサービスを提供している」とし、この状況を抜本的に見直す必要性については「そういったご意見があれば検討したい」とコメントした。
対象者となるゴールドプラン加入者でS!ベーシックパックの未加入者の人数については現在、「公開していない」(広報)という。料金プラン別の契約者数は分からないが、電気通信事業者協会の発表によると、ソフトバンクモバイルでネット接続サービスの未加入者は、10月末時点で244万6100人。万単位の利用者が自覚しないままサービスを利用してしまう可能性があるが、「(対象者は)SMSでの告知を2〜3回に分けて送れる程度の規模」(同)としている。
ゴールドプランは10月24日のMNP(携帯番号継続制度)の前日に急遽発表された料金プラン。条件付きで基本料2880円および無料通話を柱とする格安プランとして訴求している。
11月29日、都内のソフトバンクモバイル店舗を取材したが、上記問題についての口頭説明はなく、また契約書にも明記されていなかった。これについてソフトバンクモバイル広報は、「12月1日からの契約書には明記される。現在も別紙を添付して口頭説明するよう指導しているので、誠に遺憾だ。今後はそのようなことのないように販売店への周知を図りたい」とコメントしている。
本件について、総務省は次のような見解を示した。
「事業者がどのようなサービスを提供するかは基本的に各事業者に委ねられている。ただ、事業者がサービス内容の変更に関する事前説明や相談対応を適切かつ迅速に行わなかった場合、電気通信事業法違反である可能性がある。ソフトバンクモバイルの件については、現時点で違反の事実を確認していないし、総務省に消費者からの苦情等はない」。
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