Skype TechnologiesがもたらしたVoIPのブレイクから2〜3年、低価格のみを強みとしたVoIPの第1世代は終わり、新しい局面に入りつつある。「便利さで勝負する」と意気込む新世代VoIP、米JAJAH(ジャジャ)は、モバイルにもいち早く進出を果たし、着実に戦略を軌道に乗せている。
米国時間12月19日にはドイツの「Pro7/Sat1」や「Bild-T Online」、オーストリアの「News-Austria」などのメディアと提携し、3媒体、約1億ユーザーに向けて広告モデルでのサービスの提供も開始した。
Sequoia CapitalやGlobespan Capital PartnersなどVCが出資し、欧米だけでなくアジアにも本格的に進める同社の展開について、共同創業者Roman Scharf氏に話を聞いた。
2005年に会社を設立し、2006年2月にウェブベースのVoIPサービス「JAJAH」を開始しました(編集部注:JAJAHはサービス開始当初、クライアントソフトを用いたVoIPサービスを提供していた)。その後、2006年9月に携帯電話から直接VoIPを利用できるサービス「JAJAH Mobile Suite」を開始しました。
JAJAHはウェブブラウザで開始するVoIP通話サービスです。ユーザー登録をして、JAJAHのウェブサイトでユーザー自身の電話番号と相手の電話番号を入力してクリックすると、システムが両方の番号に電話をかけ、通話スタートとなります。最初にウェブブラウザを使うだけで、後は使い慣れた電話機を利用します。
モバイル向けサービスは、携帯電話からVoIP通話が利用できるというものです。これを使えばPCでブラウザを開く必要がなくなります。現在、Symbian OSとJavaをサポートしており、2006年内にはBlackberryやWindows Mobileなど、すべての携帯電話向けにプラグインを提供します。また、2007年には開発実行基盤であるBREWにも対応する予定です。そのほか旧式モデルの端末もサポートしています。
携帯電話では、日本と韓国だけの現象として、モバイルブラウザによる利用が人気です。携帯電話の画面からJAJAHのミニサイトにアクセスして利用しています。これは、日本と韓国のユーザーが早くからインターネット対応携帯電話に慣れているからかもしれません。
登録ユーザー数は非公開ですが、2006年末までに100万人達成を目標としています。モバイル向けJAJAHでは、開始後3日間で1万人を達成しました。
JAJAHユーザー間の通話は無料で、それ以外は有料通話となります。有料の場合も料金は格安で、1分3円からです。
そのほかプレミアムサービスも用意します。JAJAHには電話会議やスケジュール電話、SMSなどの有料サービスがあります。電話会議は10人まで参加できるサービスで、会議の参加者が指定の番号に電話をかけるダイヤルイン方式ではなく、あらかじめ登録した会議の参加者にシステムが電話をかけるダイヤルアウト方式です。スケジュール電話とは、あらかじめ通話相手と通話の日時を指定しておき、指定したタイミングで電話をかけるというものです。
また各種プラグインにより、OutlookやMac OS Xとの統合を実現しており、Firefoxの拡張機能(アドオン)をインストールすれば、ウェブサイト上に表示されている電話番号をクリックするだけで、JAJAHを利用して電話をかけることができます。
電話業界共通の曲線として、通話からの売り上げは時間とともに減少していきます。最終的には、限りなくゼロに近くなるでしょう。1対1の通話は、どのテレコム企業でも提供できるサービスです。われわれとしては、使い勝手のよい有償サービスを提供することで、通話以外のサービスからの比率を増やす戦略です。
――ターゲットとするユーザーは?
すべてのインターネットユーザーです。JAJAH Mobileでは、すべての携帯電話ユーザーです。なかでも、ビジネスマンや学生、家族間での国際通話の利用が多いようです。
マーケティングとしては、広告などは展開しておらず、主として口コミ、ブログで広がっています。JAJAHユーザーに調査したところ、84%が「(JAJAHを)友人に推薦した」と回答しています。このようにしてJAJAHコミュニティは拡大しています。ユーザーの数は、モバイルでは毎週倍増しており、ウェブでは毎月倍増しています。JAJAHの成長曲線は、Yahoo、Google、YouTubeと同じようなカーブを描いており、ユーザーがわれわれの製品を評価している証拠です。登録率は高く、JAJAHを使ってみた人の89%が登録しています。
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