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「Google対抗ではない」--元担当者が語る情報大航海プロジェクトの真実

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 ネットビジネスに携わる企業が一同に介し、最新動向を紹介するイベント「JANES Way Episode2」が11月15日に開催された。経済産業省や企業、大学などの38団体が、画像や動画の検索・解析ができる国産エンジンの開発を進める「情報大航海プロジェクト」の元担当者が登壇し、プロジェクトの方向を語った。

 2006年10月まで経済産業省で情報大航海プロジェクトを担当していた内閣官房参事官補佐の鈴木英敬氏は、「マスコミには、Googleに対抗してキーワード検索エンジンを、政府が主導し、税金を投入して開発すると言われているがそれは大きな誤解」と語り、情報大航海プロジェクトの目的を説明した。

 鈴木氏はプロジェクトについて「検索エンジンを作ろうとはまったく思っていない」と説明する。「現在、キーワード検索といえばインターネット上にあるテキストの検索にとどまっている」と指摘した上で、情報大航海プロジェクトでは「画像や交通情報、ユーザー端末内の情報、非デジタル情報などを含めた情報を拾ってくる、解析しようとしている」(鈴木氏)という。検索対象についても「キーワードでの検索だけではなく、もっと広くなる」と語り、単純な「テキスト検索エンジン」の開発を目指しているのではないことを強調した。

内閣官房参事官補佐の鈴木英敬氏 内閣官房参事官補佐の鈴木英敬氏

 さらに鈴木氏は「我々はデジタルコンテンツの大海原と日常的に向き合いながら社会生活を送っている。そこでコースを間違わないように船を進めるには羅針盤が必要。知的情報アクセスの技術やサービスがまだ足りないのではないかと経済産業省は思っている」と検索にとどまらないプロジェクトの方向性を説明した。

 また、政府がITプロジェクトを主導することに批判があることに触れ、「諸外国でも、国家レベルの検索プロジェクトがある。たとえばフランス政府が主導しているQuaero(クエロ)プロジェクトはマルチメディアコンテンツを対象とした検索エンジンを開発しようという国家プロジェクトだ」と説明し、国家主導のプロジェクトが日本だけのものではないことを紹介した。

 さらに「実際の情報大航海プロジェクトは経済産業省が主となってやっているのではない。問題意識を提示し、方向性は示したけれどオブザーバー参加。さまざまな企業、学会、ベンチャーがそれぞれの立場でプロジェクトに参画している」とした。

 しかし、1982年に開始した「第5世代コンピュータ」や1985年に開始した「シグマプロジェクト」など、国が中心となったITプロジェクトの惨憺たる結果は記憶に生々しい。

 鈴木氏は、これら国家ITプロジェクトが失敗した原因として、「ユーザー不在、ビジネス無視、戦略的発想の欠落などにあった」と分析し、情報大航海プロジェクトでは「ユーザーの意見をしっかり聞こうというユーザー本意のやり方、ビジネスに直結し出口がちゃんとあるプロジェクトとすること、思いつきではない戦略的な開発ポートフォリオを基本方針とする」と、失敗を繰り返さない決意を述べた。

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