携帯電話について専門的に研究する「携帯電話学科」が、このたび新設されることとなった。
ユニークな学科の新設を決めたのは、ソウルにある私立成均館大学だ。同大学はサムスン電子と共同で、博士および修士課程に携帯電話学科を設置。2007年1学期から講義を開始する。
具体的な研究分野は、Human Interface/Connectivity/Embedded Software/Mobile Platform/Mobile Healthの5つだという。
携帯電話学科の学生に対しては、サムスン電子が登録金全額を負担するほか学費補助金を支給する。さらに卒業後にはサムスン電子への入社が優先的に保証されるというから、入学はかなり狭き門となりそうだ。
ちなみに成均館大学とサムスン電子は1996年にも共同で「半導体システム工学科」を設置している。
ちょうどこれと同じ日、漢陽大学とLG電子が、「漢陽大学−LG電子 R&Dセンター」を開設している。
ここではLG電子のデジタルメディア事業本部から派遣された研究員や漢陽大学の修士課程の学生などが参加し、テレマティクスやマルチメディア映像圧縮分野に関して研究開発を進めていくこととなる。
LG電子と漢陽大学はこれとは別途に、携帯電話などの分野において産学協同で研究開発を行い、人材を育成するプロジェクト「LG Track」も進めている最中だ。
こうした制度を実施する最大の目的は他でもない、優秀な研究人員の育成と確保、そして輩出にある。企業側としては優秀な人材を着実に育て確保することができる反面、大学側には特化した学科から優秀な人材を社会へ送り出した実績ができるという利点がある。
そのためこうした例はサムスン電子やLG電子に限らず多く見られる。さらに技術の開発や導入などを国策で行うことが多い韓国においては、企業と国とが手を組む官民共同研究も、また多い。
その結果の1つが、韓国の国立研究所である韓国電子通信研究院と、KTやサムスン電子などが共同開発した通信規格「WiBro」だ。「Mobile WiMAX」として国際標準ともなっているWiBroのような優れた技術を開発し、IT分野を強化することが韓国の目指すところであり、そのためにはやはり優秀な人材が必要なのである。
そうした意味でも産学協同の研究は、企業や国、社会のニーズと直結した実用的な研究を行いつつ、人材を育てられるという意味でも有意義な手法なのだろう。企業の「青田買い」とは、収穫を見積もって米を先買いすることから発している言葉だが、優良米を得るには米作りから関わることも必要という意識があることを、韓国の企業と大学の協力体制から見て取れる。
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