BCN(奥田喜久男社長)は11月2日、都内で開催した「BCNフォーラム」に麻倉怜士氏を講師として招き、「デジタル家電とは何か今後の展望」をテーマにした講演を実施した。麻倉氏はデジタル家電がここまで普及した理由と、今後、デジタル家電がどのように進化していくかを分かりやすく解説した。
「デジタル家電」といっても、薄型テレビ、DVDレコーダー、デジタルカメラ、携帯オーディオなどさまざまな「デジタル」製品が販売されている。その中でもっともユーザーの生活に影響を与えたのは「薄型テレビとDVDレコーダーだ」と麻倉氏はいう。
テレビやレコーダーは洗濯機や冷蔵庫などの生活家電と同様、ほとんどの家庭に普及している家電製品。市場規模が大きいこの2つの製品がデジタル化し、さらに、ユーザーに広く認められるようになった理由は「製品を購入することで訪れる便利で豊かなライフスタイルをイメージしやすい」からだという。
たとえばレコーダーの場合、VHSレコーダーからDVDレコーダーへと進化することで、高画質な映像を、長期間保存することができるようになった。また VHSレコーダーでは見たい番組の頭出しができず、編集作業が難しかったのに対し、DVDレコーダーはランダムアクセスが可能で、編集も簡単に行える、と利便性が格段に向上した。このほか、VHSテープに比べ、DVDはコンパクトで保管場所も取らないというメリットがあり、この「コンパクトさ」「便利さ」が普及の要因となっている。
テレビの場合、見た目が大きく変化したことが普及の要因だろう。ブラウン管テレビに比べ薄くなり、余ったスペースを利用して、もう一回り、ふた回り大きい画面の薄型テレビを設置できるようになった。毎日見ているテレビだけに、ユーザーは見た目の変化に敏感だ。また放送がアナログ放送からデジタル放送へと変わりつつあり、高画質で安定したデジタルハイビジョン放送を楽しめるようになったのも、薄型テレビ普及の追い風となった。
現在の薄型テレビ、DVDレコーダーは「1.7世代の製品で、アナログとデジタルの中間ぐらい」だという。しかし、「デジタル2.0世代」は近くまで迫ってきている。
DVD レコーダーではデジタル放送をハイビジョン画質のまま録画できるブルーレイディスク、HD DVDが登場。さらに高画質の映像を録画できるだけではなく、すべての番組をまるごと録画できる「全録レコーダー」が「デジタル2.0世代」の鍵となる。これまでの見たい番組だけ録画するライフスタイルから、すべてのテレビ番組を録画、保存し、必要に応じて検索、視聴できる生活が近づいている。
テレビは映像コンテンツの進化に合わせて変化している。これまでの4:3のハイビジョン映像からフルハイビジョン映像へとコンテンツのクオリティが高まり、フルハイビジョンテレビへと変わり始めている。またネットワークに接続することで、これまでテレビ放送を受信、表示していたテレビから、テレビ放送、インターネット経由で配信される映像コンテンツなど、さまざまな映像コンテンツを表示できるようになっていく。
「今後は放送と通信が融合し、便利なだけではなく、高品質なコンテンツを手軽に楽しめるようになる。これが『デジタル2.0』だ」と麻倉氏は締めくくった。
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