老舗メーカーのテクモが見る次世代ゲーム戦争の活路 - (page 2)

--新しい市場の規模はどのくらいとお考えですか。

 日本のゲームソフトウェア市場は、だいたい3000億円規模。この数字にはオンラインゲーム市場や、携帯電話向けゲームの市場は含まれていません。また、オンラインゲームフォーラムで発表された日本のオンラインゲーム市場の規模は800億円、携帯電話向けゲーム市場の規模は250億円と言われています。さらに、アジアのPCオンラインゲーム市場は、ある団体の試算では4000億円規模と言われています。これらの新しい市場は、倍々で増えていっています。やはり市場の成長力があると言っていいでしょう。

 たとえば中国最大のオンラインゲーム運営事務局の登録会員数は約3億人と聞きます。こうした市場の単価はあまり高くないのですが、購買力はありますよね。全体的な市場規模を見ると、とても大きいものだと感じています。

--こうした市場を開拓するにあたっての課題は。

 デジタルコンバージェンスに対する我々の考えは「テクモの強みを生かしていく」ということです。テクモはクリエイター集団の会社です。技術力があり、ベテランの社員から若手まで、バランスよく人材がいます。彼らの持っている力をどうやって生かしていくかが課題です。

 たとえば、任天堂Wiiで発売する「スイングゴルフ パンヤ」はもともと韓国のメーカーのソフトでした。これを「面白い」と発掘してきたのは、当社プロデューサーの菊地(啓介氏)なんですね。そして、韓国のクリエイターと意気投合して、Wii向けへの開発が進んでいる。従来のように、営業部門が「売れそうなタイトル」の移植権を獲得してきて、それを日本で移植するといった流れとはまったく異なります。クリエイターが「いいものはいい」と言える土壌が、当社の強みです。

 オンラインゲーム市場では、会社の規模にかかわらず優れたクリエイターが世界中に埋もれています。彼らと当社の開発者がコラボレーションを行っていくことで、我々も鍛えられますし、彼らにも「新しい市場」から「従来の市場」へのボーダーを越えていくソリューションを提供できると考えています。

--自社の人材面に不安はありませんか。

 技術者を育てる、という点に関しては今までも行ってきて、一定の成果が上がっています。今後は次世代機に対応できるディレクター、プロデューサーを育てていく必要があります。そうした資質を持っている社員は何人もいると思っています。彼らを表に出して、社外の皆さんへのプレゼンテーションやコミュニケーションの機会を増やしながら育てていきたいですね。

--オンラインゲームについて、御社ではLieVoというポータルの提供を始められましたね。これの狙いを教えてください。

 LieVoはインターネットの本質に近づけることを目標としています。けしてユーザーを囲い込まない、出入りを自由にする。その代わり、1日に1回は寄っていただきたい。全世界のプラットフォームと考えた時、言葉の面ではローカライズは必要ですが、ゲームの遊びの本質には国境はありません。こうした点を真正面からとらえていくのがLieVoのコンセプトです。

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