CGMサービスの仕掛け人達が語った広告ビジネスのチャンスとは

 ブログやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、ソーシャルブックマークなど消費者自身が情報発信者となるCGM(Consumer Generated Media)への注目は高まっているが、果たしてどのようにサービスを作り、そしてビジネスとして成功させていくのだろうか。

 10月26日に開催された「フィードビジネスカンファレンスVol.5 〜Web2.0時代のビジネス現在形〜 」の会場には、CGMのサービスを手がける3社が集まり、「各社が考えるCGMのビジネスチャンスとは」と題したパネルディスカッションが開催された。

 パネラーは旅行サイトである「フォートラベル」を運営するフォートラベル代表取締役の津田全泰氏、ソーシャルブックマークサービス「Saafブックマーク」を運営するネットエイジ代表取締役副社長の佐藤僚氏、そして情報共有サイト「PingKing」を運営するWEB2.0取締役の佐藤匡彦氏の3名。モデレータはRSS広告社代表取締役の田中弦氏が務めた。

ユーザーをどう集め、盛り上げるか

RSS広告社代表取締役の田中弦氏 RSS広告社代表取締役の田中弦氏

 CGMのサービスではユーザーをどのように集めているのだろうか。まず、モデレータの田中氏から「どのようにしてサイトに滞留してもらうのか。盛り上げるための工夫というのはあるのか」という問いかけがあった。

 フォートラベルでは、従来予約機能しかなかった旅行サイトで、ユーザー同士の交流から予約、そして旅行後のブログ作成まで、旅行のプロセス全体をサポートできるサービスを提供したことでユーザーの支持を得たという。また、「優れた旅行記を編集部がピックアップし、ウェブマガジン風に紹介するコーナーを作っている」(津田氏)と語り、人力の編集によってサイトを活性化させていることを説明した。

フォートラベル代表取締役の津田全泰氏 フォートラベル代表取締役の津田全泰氏

 佐藤僚氏も人力でコンテンツを編集することの重要性を説明する。「十分にコンテンツが集まってない状態では、投票数など機械的にランキング付けしても本当に面白いものを抽出できない。スタッフがコンテンツを読んで、面白いものを炙り出している」(佐藤僚氏)

CGMサイトが目指す広告ビジネスとは

 CGMサイトでのビジネスモデルはほとんどが広告出稿に頼っている。しかしその一方で、CGMではユーザーがコンテンツを作るためにバナー広告などではターゲットが絞りにくい。つまり、広告を集めにくいのではないかという疑問がある。

ネットエイジ代表取締役副社長の佐藤僚氏 ネットエイジ代表取締役副社長の佐藤僚氏

 特定カテゴリのキラーコンテンツであれば、コンテンツにあった広告設計ができる。しかし、ユーザーが作り上げるCGMコンテンツではコンテンツにあった広告設計をするのが難しいのだという。佐藤僚氏は「そうなったらロングテールなコンテンツ連動型広告を張っていくしかない」と語る。

 フォートラベルの津田氏は、ユーザーが生成した大量のコンテンツをメディア化し、広告を取れるようにする方法の1つが、「サイトのディレクトリ化」だと説明する。

 フォートラベルではユーザーがブログを書く際、必ず、地球上のどのエリアに関する記事なのかをを選択してもらうのだという。世界を約5000のエリアに区分することで「航空会社がアジアだけ、ヨーロッパだけに広告を出したいというニーズに応えられる」(津田氏)。また、フォートラベルではユーザーが投稿した写真を使ってタイアップ広告を作ることもある。「採用されればユーザーも自慢になるし、広告としての説得力も高まることもあり、ナショナルクライアントから人気がある」(津田氏)

WEB2.0取締役の佐藤匡彦氏 WEB2.0取締役の佐藤匡彦氏

 ユーザーによって作られるCGMコンテンツと、コンテンツにあった広告設計をすることが難しいという状況に対してPingKingでは、「ブックマークやイベントなどに使われているキーワードを使って自動的にジャンル分けする『PingKingジャンル』がある。そのページにトラフィックを誘導して、広告設計を行っている」(佐藤匡彦氏)という。

 また、田中氏はRSS広告社が提供するコンテンツ連動型のバナー広告「Trend Macth GAZO」を紹介した。Trend Macth GAZOでは、たとえば金融カテゴリといったくくりで広告を設定する場合、「金融全般」というカテゴリではなく、「カード」とか「ローン」といった言葉に絞り込んだ広告出稿ができるため、「広告の単価を上げることができるほか、これまではカテゴリ対応できなかったバナー広告でも価値を挙げることができる」(田中氏)という。

 佐藤僚氏は「CGMサイトの広告パフォーマンスは広告の設計によって大きく違ってくる」と語る。たとえばインターネットのエンジニアが転職について質問して、それに対して他のユーザーから回答が載るようなQ&Aサイトの場合、質問と回答の間に「エンジニアの適正年収とは」といった転職についての広告が挿入されれば、クリック率が飛躍的に高くなると説明する。

 このようなコンテンツマッチの技術をさらに広げていき、広告がコンテンツの一部となるようなサイト設計ができれば、「広告をユーザーにとってよりクリックする価値があるものにできる」(佐藤僚氏)という。そして、その先には田中氏が「広告の商品設計にあわせて、サイトの設計をする時代が来るかもしれない」と語ったように、CGMサイトの性質が変わるという可能性も存在しているのである。

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