オープンソースソフトウェアの品質を検証する欧州の共同プロジェクト「Software Quality Observatory for Open Source Software」(SQO-OSS)は、欧州委員会から約400万ドルの資金を獲得した。
SQO-OSSは、調査機関、コンサルティング企業、複数のオープンソースプロジェクトなどで構成される。SQO-OSSの資金は、半分を参加組織が、残りの半分を欧州委員会が拠出している。
SQO-OSSが掲げる目標の1つに、ソースコードの品質に関するベンチマークを提供し、企業での導入に適合すると保証できるよう支援することがある。SQO-OSSはまた、認知された品質に応じてオープンソースアプリケーションを格付けする測定基準を発行する予定だ。
「ある業界が成熟するのは、その製品の規格化が進むときだ」と、ギリシアのアテネ大学の教授で、プロジェクトリーダーを務めるDiomidis Spinellis氏は述べた。
「オープンソースプロジェクトの客観的な評価を通して、SQO-OSSは、小規模であまり知られていない多くのプロジェクトに、それぞれにふさわしい認知度や評価をもたらすことになる」(Spinellis氏)
2006年10月に入って欧州委員会がオープンソースプロジェクトにまとまった資金を拠出するのは、オープンソース関連のポータルページ「Open Source Observatory」を拡張するプロジェクトに続き、SQO-OSSで2つめとなる。
アナリストたちは、同様のプロジェクトはすでに存在すると指摘するが、それでもSQO-OSSが有意義なものになる可能性も示唆している。
「オープンソースソフトウェアを認定する基準があるというのは、どんなものであれ素晴らしいことだ。それでもSQO-OSSは、Coverityなどが打ち出す構想に先んじており、分かり切ったことを繰り返さずに済むという点でうまくいきそうだ」と、Ovumのオープンソース担当リサーチディレクターLaurent Lachal氏は述べた。
Coverityは、米国政府から資金援助を受けている米国企業で、オープンソースコードが可能な限り安全になるよう支援している。
Lachal氏は、SQO-OSSはCoverityなどの企業と連携する必要があると主張する。そうしなければ、SQO-OSSは「提供された公的資金を費やすこと自体が目的になってしまう」と、同氏は指摘する。
さらにLachal氏は、企業はたいていの場合、コードそのものよりも、むしろオープンソースのサポートの質により関心を持っていると話す。
「コードの評価のほかに、サポートの質も評価できれば、素晴らしい状況になるだろう」(Lachal氏)
SQO-OSSには、英国のITサービスグループSirius、ドイツからKDEプロジェクトとProSyst、スウェーデンのKDAB、ギリシアのアテネ大学およびテッサロニキ大学が参加している。
SQO-OSSの成果は、BSDライセンスの下で提供されることになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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