何でそんなに売れる?--急成長を遂げるモバイルコマース市場の現状 - (page 3)

深田浩嗣(ゆめみ)2006年10月26日 14時54分
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モバイルコマースの成功例とは

 このように、販売方法の違いや顧客層において大きな違いがある現状、それを理解したサイト運営をするかどうかで結果に大きな開きが出てくる。モバイルコマースのプレーヤーの分類については前述のとおりだが、PCコマース事業者が苦労をしていることが多く、モバイルコマース特化型の事業者が成功しているのはこの違いを理解しているかどうかだと言えるのではないだろうか。

 この違いを踏まえた上で成功している事例として、ディー・エヌ・エーがある。同社では「ビッダーズ」というPCでのオークションサイトを運営しているが、その一方でケータイ向けのオークションサイト「モバオク」を、ビッダーズとの連動性は一切持たせずに運営している。また、ビッダーズのケータイ版としては「ポケットビッターズ」があり、モバオクとはまったく異なるサービスとして運営している。

 わかりやすい違いとして、モバオクは「ピーモ」と呼ばれるキャラクターがいるのだが、出品するたびにピーモが育っていったり着ぐるみを着せることができたりとアバター的な遊びの要素、つまり感性的な見せ方がある。ポケットビッダーズにはこうしたお遊びはなく、機能性や価格訴求を重視する理性的見せ方を中心に置いている。

 また、手前味噌ながらゆめみのモバイルEC構築パッケージ「Mercury」もこの違いを理解した機能を多く盛り込んでいる。絵文字やデコメール対応のメール配信機能では、PUSH型直感型のアプローチを強化しているほか、予約機能やワープロ感覚で絵文字を含めたページ編集ができるWYSIWYGエディタ搭載のCMS機能など、運営者にとってモバイルコマースに特化したECサイト構築しやすいように機能を備えており、アフィリエイトにも対応している。

モバイルコマースの未来

 現在モバイルコマースでの売り方にはこうした特徴が見られるが、今後はどのようになっていくのだろうか。

 まず、ユーザーの一般サイト志向が加速し、PCコマースでの販売手法や集客手法が取り入れられていくだろう。検索サービスの充実にともない、サーチエンジンの検索結果上位に表示されるための手法(SEO:Search Engine Optimization)が増えていくこと、ケータイにおいてのアフィリエイトでもコマース関連が伸びていくこと、ブログやSNSのようなCGM系のサービスがケータイでも伸びていくことは間違いない。

 ただし、PCにはない進化の方向性としてFeliCaなど非接触型ICカード技術が端末に搭載されることや店舗、紙媒体などからの集客経路が充実していくことで、よりリアルとの連動性が高まっていくことが考えられる。また電子マネーの本格的な普及により、端末上で完結できるオンラインの決済手段が増えれば市場の拡大には大きな影響があるはずだ。情報配信のあり方も、PCと同様にメールからフィードへの変遷が起こるだろう。

 ケータイにおいては、PUSH型配信が向くという特性上、行動履歴に基づいて、配信する情報のターゲティングやパーソナライズをすることがさらに重要になってくるだろう。

 たとえばアマゾンでは、過去の購買履歴から商品のレコメンデーションをしたり、同じ書籍を買った人が買ったほかの書籍を紹介するような仕組みを設けている。こういった仕組みが将来的には購買履歴だけでなく、サイト閲覧履歴や購読メールマガジンの種類、購読フィードの種類などによってもどんな商品をレコメンドすれば適切かわかるようになってくると考えている。

 ケータイの小さな画面の中で検索もできるようになったとは言え、まだ制限は多い。いかにユーザーに手間なく満足度の高い情報を届けることができるかという技術が進展することで、ケータイ利用者は今よりもはるかに大きな便益を得ることができるようになり、「ケータイでモノを買う」という行為の満足度はもっと高くなる。弊社の子会社でもあるSweetのケータイ向けフィードリーダー「Sweetアプリ」は、将来的には究極のパーソナライズツールの実現を構想し研究開発されたものとなっている。

 これからますますモバイルコマースの市場は拡大していく。その拡大の方向性は、PCの進化にケータイ要素を加えたものと、ケータイ独自の進化とが合算されたものになっていくだろう。その市場はひょっとするとPCコマースの市場を凌駕することもあるかもしれない。モバイルコマース市場の拡大を新たな販売チャネル開拓のチャンスととらえるなら、できるだけ早くそこに自ら飛び込んで試行錯誤を繰り返していくことが成功への道だ。是非、チャレンジしてほしい。

深田浩嗣氏
ゆめみ代表取締役社長
深田浩嗣

京都大学大学院情報学研究科在学中の2000年1月、現代表取締役会長の片岡俊行、技術担当取締役中田稔とともにゆめみ設立。ユーザー視点でのモバイル向けサービスを中心に、技術力を駆使してモバイルECシステム、メールの配信システム、モバイルSNSシステムなど、モバイルコンテンツを支えるソリューションの開発・運営・コンサルティングを手がける。2005年11月より自社サービス「Sweet」の展開に力をいれ、コミュニケーションプラットフォーム作りを目指す。2005年4月、代表取締役社長就任。モバイルマーケティングソリューション協議会(MMSA)会員。

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