筆者は街の雑踏というのが大の苦手だ。一応都会育ちなので、人混みをすり抜けるすべは若いうちに覚えた。しかし、それでも慣れないものがある。音、中でも「声」だ。町中の怒声や量販店の店内放送のような騒音を聞いていると心がささくれ立ってくる。こうした音を防ぎ、心を平安を保つために長年使っているのが、ヘッドホンステレオの類だ。カセットテープの時代から始まり、現在はハードディスク内蔵のネットワークウォークマンを愛用中。カナル型イヤホンと併せ、出かける際の必携アイテムとなっている。
しかし、外部音をシャットアウトすると別の重大な問題が発生する。ケータイの着信音が聞こえないのだ。
筆者のような自由業では、ケータイの着信というのは1つの生命線である。親しい編プロからのヘルプコールや、人のアテがつかなくなって代打を希望する要請などは、ほとんどケータイに電話がかかってくる。着信履歴が残るので、後からかけ直すなどのチャンスはあるのだが、その頃には代打がもう決まっていた、なんてこともあり得る。そのため、着信の取り逃しはできるだけ避けたいのだ。
ケータイにはバイブレータもついているのだが、これの振動に気がつかないことも多い。また、振動を感じとるにはポケットなりに入れてなくてはならないが、最近のケータイは結構厚く、薄手のシャツのポケットに入れていると非常にみっともない。だからといってカバンに放りこんだとしたら、絶対に着信には気がつかない。--というわけで、特にこの数年はいかにこの問題を解決するかが課題となっていた。
簡単なのは、音楽プレイヤーもケータイにまとめてしまうという方法だ。auのLISMOをはじめ、そうしたソリューションはいくつか登場している。しかし、これだと電池の問題が残る。ただでさえ持ちの良くないケータイの電池なのに、さらに音楽プレイヤーまで搭載したらどうなるのかは、想像に難くない。しかも、電池切れを起こすと着信履歴すら残らないのだ! 電話会社の留守番電話サービスが最後の保険となるが、これだけでは心許ない。というわけで、この解決策に乗ることはできなかった。
というわけで、いろいろ試行錯誤していたのだが、今年の春に発売されたある製品が、この問題を見事に解決してくれた。それはソニーのウォークマン用Bluetoothオーディオコントローラー「VGP-BRM1D」だ。本来の目的はBluetoothでウォークマンをワイヤレスにするという製品だが、この製品はもう1つの側面を持つ。Bluetooth対応携帯電話があれば、音楽を聞いている途中でも、着信音が割り込んで聞こえてくる。さらにボタン操作でハンズフリーのまま通話もできてしまうのだ。Bluetoothヘッドセットの機能がおまけでついていると考えれば良いだろう。電池もほぼ1日曲を聴きながら過ごしてもまったく問題ないというスタミナっぷりだ。これにより、筆者のモバイルライフは一気に快適になった。
ちなみに筆者の持っているケータイはBluetooth対応のものではないが、ケータイの平型端子につなぐBluetoothアダプタを使って対応できた。次にケータイを買い換えるときには、絶対にBluetooth対応のものを選ぼうと思っている。この便利さは、一度体験してしまうとやめることができない。
今回紹介したのはソニー純正の組み合わせだが、iPodを使っている方でも同様の製品が販売されている。筆者のような悩みを持っている方は、是非お試しいただきたい。
フリーライダー。自称は取扱説明書と事典編纂が専門分野だが、日本でこの分野のフリーライターの需要は皆無。よく言えばロングテールを狙っている? 普段は技術文書の翻訳チェックや、ゲーム、IT、デジタル放送関連の雑文書きをしてます。実は旧CNET Japanでマニアックなゲームレビューを寄稿していた過去も。
【使用製品】ウォークマン用Bluetoothオーディオコントローラー「VGP-BRM1D」
【購入時期】2006年6月
【お気に入り度合いを一言で表現してください】これで仕事の電話がじゃんじゃん入れば完璧だ!
【次回にバトンを託すのは?】大和 哲 氏
【次回の執筆者に一言!】大和さんみたいにふらっと台湾に出かけるのにあこがれています。今年は真似しようかと思ったんですが、サーチャージ高騰で断念。八徳路電脳街とかで手に入れたあやしいものがでてくるのではないかと期待しております。
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