米国Mozilla Corporationの最高経営責任者(CEO)のMitchell Baker氏が来日したのにあわせて、Mozillaプロジェクトの歴史と現状を紹介するプレスミーティングが開かれた。
Mozillaプロジェクトでは「人類の役に立つインターネットの革新」、「オープンスタンダードな技術、オープンな環境」、「個人のプライバシーとセキュリティの保護」の3つを目標に活動をしている。
同プロジェクトから誕生したブラウザ「Firefox」は現在、40カ国語にローカライズされており、全世界に約6000万人のユーザーを持つ。Internet Explorerが圧倒的首位を誇るブラウザ市場で、シェアを約13%にまで伸ばしてきている。
同社によればシェアが急に伸びてきたのは、ここ2年ほどのことだという。市場シェアが特に高いのはドイツで29%。日本国内では8.9%のシェアを獲得している。
同プロジェクトは1992年頃にNCSA(米国立スーパーコンピュータ応用研究所)で開発が始まったブラウザ「NCSA Mosaic」に端を発している。その後、同ブラウザの開発者がNetscapeを興し、同名のブラウザを開発し、それをAOLが買収。やがて、AOLからMozillaというオープンソースのプロジェクトとして独立し、派生プロジェクトの1つとしてFirefoxを誕生させた。
Baker氏によれば、プロジェクトはもともと、Mozilla FoundationというNPOで運用されてきた。しかし、非課税が基本のNPOでは、さまざまな場面で煩雑な税制手続きを取る必要がでてきた。
例えばFirefoxの解説本の表紙に、Firefoxのロゴの使用を認めるといったことが、NPOでは非常にやりにくい。そこで同団体では、こうしたビジネスに近い運用を行うエンティティとして、企業としてMozilla Corporationを設立し、Mozilla Foundationの管理下に置いた。Firefoxの製品の販売や管理などはMozilla Corporationが行うが、それらの資産はすべてMozilla Foundationが所有する、という形態だ。
ちなみにプロジェクトの収益は、検索サービス提供社が、ブラウザに埋め込んだ検索窓(現在、Yahoo!及びGoogleの検索窓を用意)に対して支払っている対価と、デフォルトホームページに表示される広告の2つだけだが、それでも「年間数千万ドルの売り上げを得ている」(Baker氏)という。
現在、Mozillaプロジェクトは米国外にもMozilla Europe、Mozilla Japan、Mozilla Chinaの3つの公式拠点を構えている。Mozilla Japanは有限中間責任法人という形態を取っており、Mozilla Chinaは中国科学院ソフトウェア研究所(ISCAS)とSun Microsystemsの中国技術研究所(ERI)の支援を受けた小規模組織という形態を取っている。
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