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サンが唱える「参加の時代」--Web 2.0を視野に入れたコミュニティ活性のためのアプローチとは

インタビュー:西田隆一(編集部)
文:富永康信(ロビンソン)
2006年09月29日 18時01分
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 サン・マイクロシステムズ(以下、サン)の最近の動向は、2005年6月のJavaOneで、当時同社のCOO(現在はCEO)だったJonathan Schwartz氏が語った、「『情報化の時代(Information Age)』は終焉し、これから『参加の時代(Participation Age)』が始まる」という言葉に象徴されている。

 創業当時から「The Network is The Computer」を提唱してきたサンは、ネットワークの拡大が急速に進行する現状にあって、情報を提供する側と受け取る側との区別のない参加の時代に向けたビジネスを模索する。

 そこで今回は、同社のソフトウェア製品のアーキテクトを経て、現在プロダクト・ストラテジック・マーケティング本部でシステムズ・マーケティング・グループのグループリーダを務める藤井彰人氏にインタビューした。

 「Web2.0的なものを、どうやって業務の中にキャッチアップしていくかが、今後の重要なミッション」と語る藤井氏は、ITをネットワーク上のインフラと捉え、そこに自分たちが持っているイノベーションをシェア(共有)することで、コミュ二ティが価値を生み出すような参加の時代を進めていくという。

 その参加の時代に必要なインフラとは何か、またオープンソースビジネスをコミュ二ティで支援する同社の戦略とは何かについて聞いた。

--最初に、貴社の考える新たなインフラの需要とはなんでしょうか?

 これまでの企業システムは、あたかも安価な発電機を個々の家庭に備え付けるようなものでした。今後は、効率の良い発電所から必要に応じて電気が利用できるような、参加型の利用方法に変わるので、そのインフラが必要となります。そこにサンがソリューションを提供できると考えています。ストレージ、ミドルウェア、業務アプリケーションをサービスとして結び付けていくことで、ネットワーク上の発電所を作ろうというというのが当社の考えです。

--貴社はオープンソース化を積極的に推進していますが、既に様々なオープンソースツールやコミュ二ティが存在する中で、サンがオープンソース化したものが受け入れられにくいという点はありませんか?

 「netBeans」と「Eclipse」、「Solaris」と「Linux」などいろいろな対比があっても良いのではないかと思います。コミュ二ティ化の良さとは、やはりテクノロジーの斬新さが生み出されるところでしょう。良いものが出てくれば、自動的にコミュ二ティが活性化します。例えば、netBeansのプロファイリングの技術をオープンソースに出したところ、Eclipseユーザーも大変興味を持ってくれました。また、最近ではnetBeansのエンタープライズパックを、JBIやBPELのエディター、さらにはUMLのツールまでもオープンソース化する方向で取り組んでいます。そのように積極的に支援することで、コミュニティも活性化すると考えています。

--ソフトウェアを販売しなくなるということは、今後どのようなビジネスを主軸としていくのでしょうか?

 各層全てがビジネスになると考えています。オープンソースとはいえ、ハイエンドなアプリケーションサーバや、各ライセンス製品などでは収益が成り立ちます。ただし、これまでの収益構造とは大きく変化していくでしょう。従量課金などのサブスクリプションモデルや、開発ツールのQ&Aサポートサービスを実施するといった方法が考えられます。

 ソフトウェアは、多くの人々に使っていただかないと良いものにはならないし、イノベーションも起こりません。そのため、まずオープンソースで敷居を低くし、無償版も用意するなど利用者のボリュームをもたらし、そこから商用サービスへと誘導するビジネスを展開します。

 また、Javaを動かす最適な環境は、Solarisとサンのハードウェアだと確信していますので、今後もハードウェアの販売やサポートは重要な収益構造の一部であることは変わりません。

--偏執的に自社技術をロックインしないところが、サンの文化といえるのでしょうか。

 当社では10年に1度、大きな賭けというべき大変革をしているのです。80年代にはワークステーション時代からサーバ時代へ、90年代にJava時代へ、そしてオープンソース化時代へと変革してきたわけです。中には失敗もありましたが、偏ったこだわりも持っていません。これまでひたすら、一貫してネットワークに特化したインフラに注力してきました。今は、ソフトウェアを圧倒的な開発者コミュ二ティ上でオープンスタンダードな環境の上に作り出すことが、ネットワーク時代の新しいビジネスだと考えています。

--貴社が進めているコミュニティへの支援活動をもう少し詳しく教えてください。

 まず、Web 2.0的なビジネスインパクトについては、去年1年間マーケティングを試行していた中で、3つの取組みを行っています。1つ目は、オープンコミュ二ティをさらに支援しようということ。オープンコミュ二ティに参加する人々は、趣味や奉仕が目的ばかりではありません。特にベンチャー企業などは、オープンソースでビジネスを創出しようと考えています。出すぎず、また放任もせずコミュ二ティを支援することで、それらの企業と協力関係を築いた方が有効だと考えたのです。

 コミュ二ティの形態も様々です。ユーザー会やイベントに集まる人々、オープンスタンダードや業界標準のエンティティ、あるいは単なる知り合い同士の飲み会かもしれませんが、支援するのは誰でも参加できることを条件としたコミュニティに限ります。例えば、SeasarファウンデーションやRubyのコミュ二ティなどが開催するセミナーを開催する際には、協賛の形で支援をしています。仮に、Javaと対立するPHPのコミュ二ティであっても、支援することで連携できる方法を探ります。

 取組みの2つ目は、それらのコミュ二ティを紹介するWebページを公開すること。オープンソースのテクノロジーをまとめて取り上げ、そのコミュ二ティに参加するギークたちの1日を記事で掲載するなどしています。コミュ二ティは技術もさることながら、そのグループを形成する人となりのコンテキストが重視されるからです。

 そして3つ目は、オープンコミュ二ティ同士のシナジーの形成です。例えば、SolarisとPostgreSQLのコミュ二ティが一緒になって会話をしたら面白いとは思いませんか。そんなオープンソースコミュ二ティの理事や中心的に発言している人などを集めて、最近どのような取り組みをしているかについて話し合う場を開催しているのです。

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