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「新しいゲーム開発の仕組みを作り上げる」--SignalTalkの挑戦 - (page 3)

インタビュー:西田隆一(編集部) 文:榊原大輔2006年09月28日 15時44分
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--仕組みですか。

 ええ。仕組みを作り上げて、残していきたいという思いは強いんです。ゲームそのものはもちろんですが、「こういう仕組みを始めたのは栢孝文なんだよ」と言われるような業界的な新しいチャレンジをして、結果を残していきたい。それはゲーム業界を拡大させることにもつながると考えます。プロジェクトファイナンスの導入というのは、そのひとつですね。

 プロジェクトファイナンスの導入以外で弊社が導入している新しい仕組みは、大きく分けて2種類あります。ひとつは、スタッフに利益を分配する仕組み。もうひとつは、新しいタイプのゲームを生み出していく仕組みです。

 1つ目のクリエイターに利益を分配する仕組みとは、従業員に向けたものですね。ゲーム制作に携わるスタッフたちが良い仕事をして、ヒット作品は生まれていく。その功績に対して、車やマンションが買えるくらいの還元をしたいと考えたんです。具体的に言うと、弊社ではプロジェクトファイナンスの出資者へ配当金を支払った後のプロジェクトの純利益の50%を、プロジェクトに携わったスタッフに分配することが就業規則で決められています。社内資金で立ち上げるプロジェクトの場合はSignalTalkが投資しているという形にはなりますが、考え方は同じです。

--その分配では、スタッフはいくら位もらえるものなんですか?

 昨年の実績は、ボーナス的な表現でいえば平均で6カ月分くらいですね。今年はまだ計算をしている途中ですが、会社の業績がおおよそ3倍くらいに成長していますから、それに見合ったものになればと考えています。来年はマンションが買えるくらいの分配を目指したいところです。

--スタッフの人たちのモチベーションも上がりますよね。

 裏を返すと、プロジェクトの純利益がなければ、給料は別として分配はありませんから、厳しい仕組みだと言えるのかもしれませんけれども。

 分配額は各スタッフで平等なわけではありません。どれだけ分配されるかは、大まかに言えば「相互評価×労働時間」で決まります。まず、プロジェクトに携わったスタッフが相互評価をするんです。自分以外のスタッフの、プロジェクトに対する貢献度はどれくらいなのかを互いに評価しあう。他のスタッフに評価されないと分配される度合いは低くなります。これにプロジェクトのために働いた労働時間をかけて最終的な分配率が決まることになります。つまり、他のスタッフに高く評価されるか、長い時間働くか、もしくはその両方か。これらで収入が上がっていくようになっています。

 また、プロジェクトに携わる時間配分は自分で決められます。あるプロジェクトは利益が出そうにないけれども、そのプロジェクトをどうしてもやりたいから、仕事時間の2割くらいを振り分けたい、といったことも自分自身で決められるようになっています。

 2つ目の、新しいタイプのゲームを生み出していく仕組みには、ヤフー、バンタン電脳ゲーム学院の協力を得て試みている「サンデーゲームスタジオ」があります。これは、ひとことで言えばゲームスクールですね。ゲームを作る学校を日曜日に開いているんです。最終的にはゲームを実際に制作して、SignalTalkのプロジェクトとして世に出していく。

 ゲームスクール発のゲームを製品化するということは他のゲーム会社さんでもやってはいます。しかし、大抵の場合は権利をゲーム会社が持っていってしまう。サンデーゲームスタジオでは、ゲームの権利はゲーム制作者の人たちの所有物として尊重しますし、制作者の名前も前面に押し出していく。この仕組みから新しいスーパークリエイターが出ていって欲しいと考えています。

--今後の目標はどの辺にあるのでしょう。会社を大きくする予定などありますか。

 コンテンツ会社は大きくなることが目的ではありませんからね。大きくなることを否定はしませんが。弊社の場合は、業界、そしてお客様にインパクトを与え続ける会社であることが大切だと考えています。

 今後の目標として、まず、ゲームで遊んでいただいているお客さんに対しては、より楽しんでいただけるようにすること。弊社のゲームで遊ぶ時間がストレス発散の時間になればと考えています。Maru-janで遊んでいただいているユーザーの方からメッセージをいただくことがあるんですよね。「仕事から帰ってきて、これが寝る前の息抜きです」とか、「子育てで外に出られないので、とても楽しみにしてます」とか。日々暮らしていけばストレスもたまりますから。100あるストレスの1でも10でも解消してもらえるならば、遊んでくれるお客さんに対して価値を提供できていると思うんです。

 成功利益をスタッフに還元する仕組みも、さらに考えなくてはならないと思っています。金銭的な面で言えばプロジェクト純利益の50%を分配するという仕組みを実施し、今年の利益分配でスタッフが車くらい買えるんじゃないかという状態になってきました。ただ、今の仕組みに乗れないスタッフもいます。こういったスタッフをどうフォローしていくか。その仕組みを考えていくのも今後の懸案事項です。

 究極には、変な話ですけれど、オンラインゲームで世界平和に貢献したいですね。オンラインゲームで一緒に遊ぶ。ネコとネズミが走り回る変なゲームで、米国のおじさんと、日本の女子高生と、アラブの子どもが遊んでコミュニケーションする。楽しく遊んだ相手とだったら、けんかはするかもしれないけど、殺し合いはしないでしょう?これは、ゲームにしかできないことだと思ってます。

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