Free Software Foundation(FSF)は米国時間7月27日、議論を呼んでいるデジタル権利管理(DRM)分野に関する条項に改訂を加えた「GNU General Public License(GPL)」のドラフトを新たにリリースした。
FSFが発表した声明には、GPLバージョン3(GPLv3)の第2ドラフトは、「GPLv3を適用したソフトウェアの共有および変更を禁止する形で利用されている特別な場合においてのみ、DRMを直接的に制限」し、「DRM機能の実装自体は禁止しないが、ユーザーが同機能を削除できないようにすることは認めない」と記されている。
DRMは、コンピュータによるソフトウェアの利用方法や、映画などのコンテンツの扱い方を管理する技術だ。GPLの最初の開発者で、FSFを率いるRichard Stallman氏にとって、DRMは悩みの種となっている。例えば、TiVoが修正版Linuxの使用を禁じるためにDRMを用いていることにも、同氏は異論を唱えている。
第2ドラフトがDRMに対して取っているアプローチには、FSFが抱いている理想主義的な姿勢が明確に反映されている。もっとも同団体のそうした姿勢に関しては、より実践的な方針を採用すべきだという批判もある。
GPLにおけるDRM条項は多方面から反論を受けたが、FSFはこれに屈しなかった。GPLソフトウェアを組み込むデバイスの製造業者は、ユーザーに対して保障すべき完全な自由性を確保しないかぎり、同ソフトウェアを使用することはできないとされている。
FSFの主任弁護士であるEben Moglen氏はインタビューに応じ、「みずからは変更する権利を持ちながら、その権利を他者に委譲しない場合は、ライセンス条項に違反したことになる」と話した。しかし、修正が加えられたソフトウェアを使用した際に、デバイス製造業者が保証を無効化したり、サポートの提供を控えたりすることは可能だという。
GRLの新たなドラフトには、DRM条項はDRMソフトウェア自体にのみ適用されるもので、動作概要や利用方法は対象としないという変更が追加された。第2ドラフトは、「ソフトウェア開発に対するわれわれの方針を堅持する目的で作成されており、映画や音楽、著述作品などをデジタル著作権の範疇外に置くためのものではない」と、Moglen氏は述べている。
しかしながら、GPLが特定のソフトウェアプロジェクトの領域を超えて適用されることはないというFSFの主張には、納得しかねるという人も多い。
Holland & Knightで知的財産担当弁護士を務めるEdward Naughton氏は、「第1ドラフトの発表当時、FSFは同ライセンスを利用して、GPLソフトウェアが稼働しているシステムまでをも管理下に置こうとしているという批判の声が多く上がった。今回のドラフトではDRM条項に修正が施されたが、こうした問題を解決するものだとは思えない。それどころか、新ドラフトに添えられたコメントからは、ハードウェアプラットフォームを視野に入れているかのような印象を受けた。これには大きなショックを受けた」と話している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」