多様性に対応できるものだけが生き残る--スクウェア・エニックスの危機感 - (page 3)

永井美智子(編集部)2006年09月22日 03時27分

--次世代機がネット対応になり、PCとの境界線が崩れているように感じます。

 ネット対応というコンセプトは同じです。しかし、リビングのテレビと机の上のPCではユーザーの向かい方が違います。だからこそ、コンテンツはそれぞれ変えるべきだと思っています。そして、コンテンツを変えるということは、ビジネスモデルも若干変えないといけません。

 エンターテインメントの窓口としては、共同のリビングにあるテレビ、パーソナルな机の上にあるPC、持ち運べるモバイル機器の3つがあり、これらは永久に存在し続けると考えています。

--2005年にタイトーを買収しましたが、アーケードゲームにはどう取り組みんでいきますか。

 まずは既存店舗への営業力を強化します。これが第1課題です。同時に第2課題にも取り組んでいきます。

 アーケードゲーム市場の動きは過去10年間非常に活発で、新しいジャンルのゲームがどんどん出てきました。サテライト型のカードゲームやオンライン対戦など、ネットワークを使ったものを含めて多様なゲームデザインが出てきています。これに対する取り組みを進めて、既存事業とのシナジー効果を働かせていきます。

 アーケードゲーム市場はここ数年で広がっています。端的なのは、ショッピングセンターの中にカードゲームが入っていったことです。数年前までは存在しませんでした。

 そういう新しい市場、ロケーションを作っていきたい。これが第2世代の課題であり、ステップです。

 新しい場所には新しいユーザーがつくんです。例えばショッピングセンターにゲーム機を置くことで、低年齢層が遊ぶようになっています。さすがに5〜6歳の子どもはゲームセンターに入りませんが、カードゲーム機の前には鈴なりになっている。

 原理的には自動販売機が置いてあるところにはすべてゲーム機が置けます。コンセントと集金システムがありますから。そう考えると、ゲーム機が置ける場所はまだたくさんあるので、ここはかなり広がるんじゃないかと思いますね。

--学研とジョイントベンチャーを設立し、教育コンテンツとゲームを組み合わせた「シリアスゲーム」と呼ぶジャンルにも参入しますね。

 ゲームを表現メディアと考えれば学習教材には適しているんです。ゲームをプレイしながら一番やっていることは判断なんです。「あのモンスターを倒すには武器と魔法のどちらで攻撃するか」といったように、自分の行動を常に判断している。

 ゲームでは判断や、何かをしたことによってどういうフィードバックが得られるかということを自然に覚えられる。もともとインタラクティブなコンテンツですから、教育になじむと思いますよ。ここには莫大な市場があるでしょう。

 もっとも親御さんには「ゲームはすべからく遊びであるから勉強とは違う」というように思われていますので、認知されるまでに少し時間がかかるかもしれません。でも、その親御さんが(英語学習ソフトの)「えいご漬け」をやっていたりしますからね。

 学研とジョイントベンチャーを設立する形にしたのは、自社が持っている教育コンテンツなどが限られているためです。学研は学習コンテンツに関するいろいろな情報を持っていて、「このトピックならこの先生に聞くと良い」といったことにも詳しい。それらを活用しながらゲーム化していきます。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]