さて、こうした基本戦略とサービス戦略で日本においても具体的に稼働したWindows Liveだが、これまで力を入れてきたMSNはどうなってしまうのだろうか。
塚本氏は「ポータルへのエントリーポイントとして、従来からのMSNに加えて新しくLive.Jpができることになる。見方を変えれば2つのポータルサイトがあるように見えるだろう」と述べ、MSNも継続して存在する。
一見2つのポータルを持つ意義を見いだしにくいが、統計調査に裏付けられた戦略がここにもある。マイクロソフトは、インターネットユーザーを非常に積極的に利用している人(インターネットオプティマイザーと呼ぶ)と、比較的受動的に利用している人(一般ユーザーと呼ぶ)の2つに分けている。
マイクロソフトが独自に調査した結果では、全世界のインターネットユニークユーザーの中で、約2割の人が全インターネット利用ページビューの約6割を占めている。つまり、インターネットオプティマイザーの数は8900万ユニークユーザーで、一般ユーザーの2億9700万ユニークユーザーに比べて少ないものの、圧倒的にインターネットを活発に利用しているというわけだ。
マイクロソフトは、インターネットオプティマイザーを単純なテクノロジー好きの人や専門家としては捉えてはいない。一般の主婦でも学生でもたくさんいて、その人たちに共通しているのは、インターネットを使って自分の人生の次の機会を切り開いていく、人生を豊かにしていくためにインターネットを非常に積極的に活用している人たちと捉えている。そして、積極的にインターネットを利用するため、自分が使いやすいようにカスタマイズやパーソナライズをしたいと考えている人たちとしても捉えているのだ。
これらを踏まえて、インターネットオプティマイザーのためにフルカスタマイズでき、究極のUser In Controlを提供するポータルサイトサービスをLive.Jpとして誕生させた。この半面で、MSNはインターネット人口からいうと大半の人たちであり、比較的受動的に利用している一般ユーザーに向けて、あらかじめ最適に編集したかたちの見せ方やメニューで、今後も継続して提供していく。2つのポータルはこう位置づけているのだ。
ただし、2つのポータルで共通して核となる検索サービスの技術や検索結果は、Liveサーチに統合していく。9月15日には完全に統合される予定だ。このほか、ウェブメールやメッセンジャーもLiveに統合していく。
日本で準備が進んでおり、近日中に公開が見込まれるこのほかのサービスとしては、地図サービスのWindows Live Localがある。
また、Windows Liveではモバイル戦略も走り出している。「Windows Live メッセンジャーアプリ」が9月12日から正式版として開始され、近日中にLiveサーチも開始される予定になっている。
このように展開していくWindows Live戦略だが、対応ブラウザとしては当面Internet Explorerしか眼中にはない。Windows Liveサービス プロダクトマネージメントグループ ディレクターの淺川秀治氏は「われわれはブラウザのトップシェアに対して最適化させることを念頭においている」と話す。つまり、当面Firefoxなどには対応しないというわけだ。これは、よく言われるマイクロソフトの“囲い込み”というよりも、他のブラウザへまで手が回らないといったところが本当だろう。
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