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ソニーに対する投資判断が一気に奈落の底へ

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 先週後半の9月7日、ソニーの株価が下落し、再び5000円を割り込んできた。きっかけは、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が9月6日、次世代ゲーム機として注目を集めている「プレイステーション3(PS3)」の欧州での発売を、従来予定していた2006年11月17日から2007年3月上旬に延期すると発表したことだった。

 これについて、SCEの久多良木健社長は「親会社であるソニーの部品(DVDの基幹部品である青色半導体レーザー)量産に遅れが生じた。ソニーの物作りの力が落ちている」と親会社批判ともとれる発言まで行い、ソニーとSCEとのぎくしゃくした関係までもが浮き彫りになった。

 この欧州発売延期に伴い、2006年内の世界出荷の目標を400万台から200万台に引き下げた。内訳は日本が100万台、米国が100万台。2007年3月末までの目標は600万台を変えてはいないものの、ソニー再建の一番の切り札として注目されていた「PS3」の開発・製造の遅れによる発売延期という異例の事態だけに、企業イメージの大きなダウンは避けられそうにない。

 この発売延期の発表を受けて、新光証券が9月7日付けでソニーに関するリポートを出した。その中で、これまで最上の「1」としていたソニーの投資判断を、「2+(プラス)」、「2」、「2─(マイナス)」を飛び越えて一気に最も低いランクの「3」まで4段階も引き下げたことが市場関係者の間で話題となっている。

 新光証券のリポートによると、「PS3出荷計画の後退によりPS3のマーケットプレゼンスの低下が避けられず、ゲーム事業の収益寄与が期待しにくくなるため。投資判断の見直しにつながった。中期業績へのネガティブインパクトは非常に大きく、株価は当面下振れのリスクが大きい」と指摘している。

 市場関係者は「突発的な悪材料が出たとはいえ、ソニーのような国際優良銘柄について、証券会社が投資判断を一気に4段階も引き下げて最低ランクにするのは極めて珍しい。株式市場のソニーへの見方が非常に厳しくなっていることの表れともいえそうだ。今期の上期(4〜9月期)は円安・ドル高、円安・ユーロ安進行による為替メリットに救われた面もあるが、下期にこの円安が反転して円高に向いた場合、業績面での不安も増幅してくることになりそうだ」としている。

 もう1つ、ソニーの今後の収益に暗い影を落としているのが、ノート型パソコンに搭載されるソニー製リチウムイオン電池不具合(過熱、発火の恐れ)に伴うリコール(回収・無償修理)という不祥事だ。回収対象となるのは2003年10月から2006年8月に販売したアップルコンピュータ社向けの「iBookG4」、「パワーブックG4」など3機種に搭載された電池で、ソニーの負担する合計のリコール費用は300億円を上回るものと見られている。

 筆者は、8月8日付掲載の当コラムで、ソニーの今後の株価について「PS3を従来の予定通りに11月にリーズナブルな価格で世界同時発売させ、年度内(目標600万台)に売上を目論み通りに伸ばせるかどうかに、ソニーの浮沈が掛かっているといえる。もちろん株価もその動向が鍵を握ることになる」と記したが、この前提が早くも崩れたうえに、リチウム電池不具合の不祥事という二重苦に見舞われており、株価動向に不透明感が強まっている。

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