富士通は米国時間8月30日、同社初の垂直磁気記録方式ハードディスクドライブ(HDD)を2006年10月に出荷すると発表した。同製品はノートPC向けの2.5インチHDDで、容量は160Gバイトとなっている。
富士通は2002年、垂直磁気記録方式を用いた製品の実現計画を業界でいち早く発表したが、市場への製品投入では他社に遅れをとっていた。同方式は、磁区を垂直に整列させることでHDDの容量を増加させるものである。富士通は同社の「MHW2 BH」シリーズで160Gバイトと80Gバイトの製品を発売することを明らかにしている。両製品とも、ノートPC向けとしての耐衝撃性が確保されている。
同160GバイトHDDは毎分5400回転するHDDとしては最大の容量になると富士通は述べているが、Seagateと日立はいずれも、同容量の製品を出荷済みである。Seagateは、160Gバイトの2.5インチHDDを含め、ノートPC向け垂直磁気記録方式の製品を2006年1月に出荷後、4月には3.5インチHDDを出荷している。
東芝は2006年6月に200GバイトのHDDを発表しており、より容量の小さな垂直磁気記録方式の製品については2005年に出荷を開始している。
日立もまた、より優れた素材を用いた160GバイトのHDDを出荷済みであり、230Gバイトの製品を2007年に出荷する計画だと発表している。
HDDメーカーは容量の増加を競っており、垂直磁気記録方式製品が出回り始めたことで、業界内では、同方式に代わると思われるテクノロジをめぐって競争が早くも始まっている。これには、現時点では最先端のテクノロジであっても、2011年までには1平方インチ当たり1テラビットという記録密度の理論的限界に達するという背景がある。有望視されている2つのテクノロジとして、Heat-Assisted Magnetic Recording(HAMR)とパターンドメディアがある。また、従来の水平磁気記録方式も使用され続けると思われる。
ノートPC向けHDD市場において現在3位の富士通は、600万台という垂直磁気記録方式HDDの販売目標を掲げ、同市場における21%というシェアをさらに伸ばしたいとしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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