「DMC-L1」はパナソニック初の一眼レフデジカメとして誕生した。だがその基本規格は「フォーサーズ規格」というオリンパスとイーストマンコダックが提唱したデジタルカメラの共通規格を採用したものである。事実この「DMC-L1」はオリンパスとの共同開発により作られた。レンズマウント、ミラーボックス部、受光画素、ダストオフシステムなどオリンパス「E-330」と共通するところも多い。だがカメラとしての性格はまったく異なった仕上がりと成っている。
私が初めてこの「DMC-L1」を手にして思った事。それはクラシカルなボディデザインとその重量感、ボディサイズの大きさである。それはずっしりと重みのある昔懐かしい金属カメラの存在感であった。ボディと標準ズームレンズ合わせて1029g。中級機としては平均的ともいえる重量だが、「DMC-L1」ボディに張られたレザー調外張りや金属外装、ライカDレンズの十分にグリップ感のあるリングがカメラとしての質感と重量感を増しているようだ。またレンズ絞りリングやシャッタースピードダイヤルをアナログ的な回転式にすることでも、昨今のボタン操作が主流のカメラにはない高級感(郷愁感とも言えるが)を与えることに成功しているようだ。このように往年のカメラファンを意識したようなデザインが、ライカレンズというブランド力と相乗して「プレミアム一眼」という存在感を与えているのは間違いないだろう。
ではプレミアム一眼という枕詞を与えられた「DMC-L1」は、果して本当にプレミアムなのであろうか。普及的な一眼レフカメラとは異なるそのボディ形状は明らかにライカのMシリーズを意識しているものである。これは同じくパナソニックから発売されている「LUMIX DMC-LC1」でも採られたデザインだ。「DMC-LC1」も今回の「DMC-L1」同様に操作系はアナログリング、レンズはライカレンズを採用した機種である。ただしこちらはレンズ交換のできないコンパクトデジカメの高級版という位置づけであった。つまり今回の「DMC-L1」は「DMC-LC1」の一眼レフ版とも言えるものである。
「DMC-L1」の高級感を演出しているアナログ操作系だが、それらは決して見た目だけの為ではない。それは実際にこのカメラを操作してみるとよくわかる。カメラ軍艦部に設けられたシャッタースピードダイヤルおよびレンズ鏡筒のマウント側に設けられた絞りリングはいずれも一目で設定値を識別できるつくりだ。回転も適度なクリック感がある。これらはファインダーを覗きながらの操作でも直感的に操作することができ撮影者に安心感をもたらす。また測光方式とドライブ設定の選択もシャッタースピードダイヤルの外周にあるレバーで操作選択できる。もっともこれらの操作系は使用者の好みによって好き嫌いが分かれるものだ。しかし銀塩カメラ時代から永年カメラを使用してきている私のような人間には、このようなアナログカメラがしっくりとくるのである。実際、それを望んでいるカメラマンも多くいると聞いている。シャッターレリーズボタンがシャッター速度ダイヤルの中央にが配置されているのもクラシカルな作りだ。ただ正直この位置は最適なポジションとは言えない。カメラに着けたストラップが邪魔をして、指の持って行きように悩んでしまうのだ。これはデザイン先行の悪い例だと言える。同時にカメラを構えたときの右手のグリップ感もいまいち。この点は改善の余地があると思う。
このようにアナログデザインにこだわっている「DMC-L1」だが、その背面はデジタルカメラ特有のものである。液晶モニターは2.5型で視野率約100パーセントである。ホワイトバランス、ISO感度設定、絞り込みボタンはいずれも独立して配置されており直感的な操作に適している。メニュー画面はコマンドダイヤルと十時キーで操作する。若干メニュー表示に癖があるが慣れれば問題ないだろう。このように「DMC-L1」の操作系はアナログ的操作とデジタル的操作がうまく融合しており、家電製品ではない「カメラ」としての完成度も高い。
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