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アッカの大株主となったイー・アクセスの思惑

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 王子製紙の北越製紙に対する敵対的TOB(株式の公開買い付け)宣言、九州地盤の紳士服販売チェーンのフタタを巡るコナカ、AOKIホールディングスの争奪戦など株式市場では国内企業同士の本格的なM&A(企業の合併・買収)時代の幕開けを告げる動きが鮮明となってきた。こうしたなかで、新興市場のIT(情報技術)関連企業でもM&Aに発展しそうな動きが浮上し、市場関係者の注目を集めている。

 ADSL(非対称デジタル加入者線)事業大手でジャスダック上場のイー・アクセスが8月4日までに、同業でやはりジャスダック上場のアッカ・ネットワークスの発行済み株式数の10.3%(1万2827株)に相当する株式を取得したことを明らかにし、筆頭株主であるNTTコミュニケーションズ(19.8%保有)に次ぐ第2位の大株主に浮上した。

 イー・アクセスでは今回のアッカ株取得について「アッカのADSLの市場性を高く評価しており、アッカの株価は投資価値があると判断した。目的は純投資だが、今後は買い増したり、逆に売却する可能性もある」としている。

 しかし、新興市場に詳しい市場関係者の中からは「イー・アクセスの本当の狙いはアッカのM&Aにあるのではないか。いまのところ『目的は純投資で売却の可能性もある』とはしているものの、同業でしかも優良法人向けに強みを持つアッカは非常に魅力的な存在。アッカの筆頭株主はNTTコムだが、浮動株比率は50%を超えており、イー・アクセスがTOBに踏み切る可能性も否定できそうもない」とのうがった声も聞こえてくる。

 さらに今回の株式取得については、市場関係者からは「絶妙のタイミングだった」との見方が出ている。アッカは7月28日に2006年12月期の連結業績について、見通しの大幅な下方修正を発表し、従来予想の経常利益32億円を16億円に、純利益35億円を7億円にするとした。この業績の大幅な下方修正を受けて、週明け7月31日のアッカの株価は売り気配でスタート、結局大引けで前営業日比ストップ(4万円)安の19万円と急落した。

 その急落時のストップ安は比例配分となり、最終的に3702株の売買が成立したが、その大部分はイー・アクセスが大量買いしたものと観測されている。イー・アクアセスは、7月24日からアッカ株の買い付けをスタートさせた模様で、業績下方修正に伴う株価急落によって、予想外の安い価格で大量の株式を取得できたことになる。

 アッカが業績の下方修正を強いられたのは、個人向け市場でADSLサービスの加入者減や光サービスの提供が遅れたことに加え、法人向け市場でコンピュータ制御が可能なマシン同士をつなぐ「M2Mソリューション」事業の遅れが響いた。

 6月中間期決算が従来計画と比べ大幅に未達だったことから、通期の連結業績については、期初の売上高420億円、経常利益32億円、純利益35億円の見通しを、それぞれ売上高390億円(前期比4%減)、経常利益16億円(同37%減)、純利益7億円(同87%減)と下方修正したわけだ。

 株式を取得したイー・アクセスは、既存のADSL事業は順調な推移をみせているものの、2007年3月期をメドに携帯電話事業への参入を予定しており、基地局の設置などで多額の設備投資を続けているため、赤字決算の見通しとなっている。同社は現在主力のADSL事業で十分利益を確保できるものの、10年以上先の将来を見据えて携帯電話事業への進出を積極的に推し進めている。この携帯電話事業への進出と同時に現在の本業であるADSLでも同業他社とのM&Aや事業・資本提携による拡大も狙う可能性が十分ありそうだ。

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