そして2003年10月、MacOS Xの最初の完成形といっていい10.3(Panther)が登場した。
MacOS Xならではのユニークな機能満載である。Finder(ファイルの操作やソフトウェアの起動ができる機能)では、画面に散らかったウィンドウ類を一瞬にして重ならないように整理し、目的のものを選択できる「Expose(エクスポゼ)」が搭載され、そのエフェクトの滑らかさも相まってMacならではの機能として認識された。また、ログインしたまま別のユーザーでログインしなおせる機能は「ファストユーザスイッチ」として実装され、キューブエフェクトで画面が切り替わるさまもMacらしい演出として評判となった。
MacOS X独自の進化と同時に、避けては通れないWindowsとの共存するための機能についても強化された。ネットワーク関連ではWindows系ネットワークとの親和性が増し、MacとWindowsでのネットワークを介したプリンタ共有も可能になっている。また、従来、MacOSの標準ファイル圧縮・アーカイブ形式は.sit(StuffIt)だったが、世界で標準となっているzipに変更して、Finderがzip圧縮、解凍をサポートするようになった。
このほか、Finderのウィンドウにサイドバーが導入されて、よく使うフォルダなどにすぐアクセスできるようにするなど大幅に機能を強化している。付属ソフトもSafariが標準ブラウザとなり、プレビューのPDF表示機能が強化された。
10.3でひととおりの完成を見たのか、次バージョンの10.4のリリースは2005年4月と1年半の期間が空く。
一番の目玉は「spotlight」。メタデータを使ったファイル検索システムで、OSが自動的に各ファイルのメタデータを収集して、不可視のデータベースに格納し、各アプリケーションがそれを使って高速でインテリジェントな検索をするというシステムだ。
メタデータにはファイルの属性のみならず、PDFなら本文、デジカメの画像ならEXIF情報、MP3ならID3タグという具合にさまざまなデータを収集するため、幅広く検索可能だ。Windowsより一足早く新世代の検索システムが搭載されたのである。
spotlightのメタデータはOS上の検索機能のほか、Finderの「スマートフォルダ」(条件に沿ったファイルを自動的に収集した仮想フォルダを作る)、Mailの検索機能や「スマートメールボックス」などで活用される。
このほか、「DashBoard」も搭載された。HTMLやJavascriptなどで書いた、ウィジェットと呼ばれる小さなアプリケーション群を呼び出す機能で、世界時計やiTunesコントローラー、計算機、単位換算ツール、天気予報などを一瞬で画面に呼び出せる。
作業の自動化を行う「Automator」も登場。単純なワークフローを記録していつでも呼び出して実行できる。
最新バージョンは10.4.7(2006年7月末現在)だが、それとは別にIntel CPU搭載MacにWindows XP(Service Pack 2)をインストールするための「Boot Camp」のパブリックベータ版が公開されている。Intel CPU搭載MacでWindowsを使うためのドライバを入れたCDを作成する機能や、内蔵HDDにWindows用のパーティションを区切ってWindows XPをインストールする機能を提供している(ただし、Windows XP(SP2)を別途用意する必要がある)。パブリックベータ版のため日本語キーボード周りなどに不備はあるものの、Windows XP自体は問題なく動作している。
2006年8月のWWDCで詳細が発表されると思われる10.5(Leopard)ではこのBoot Campに該当する機能が装備されると明言されており、そういう意味でも注目されている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス