米連邦取引委員会(FTC)が、Rambusはテクノロジ標準を策定する団体に対して情報を不正に隠すことでメモリチップ市場を独占していると判断した。
FTCが米国時間8月2日に発表したところによると、同委員会は、Rambusが4つのコンピュータメモリ技術に関して市場を独占していたと、全員一致で判断したという。なお、この4つのテクノロジは、最終的にDRAMチップの業界標準となったものである。FTCの委員会を構成する5人の委員全員によるこの判断は、FTCとRambusの4年にわたる法廷闘争における最新の動きである。
委員会は、「Rambusは、Joint Electron Device Engineering Council(電子素子技術連合評議会:JEDEC)における標準策定に大きな影響を及ぼすはずだった情報を公表しなかった」として、「JEDECは、そのメンバーがどのテクノロジを採用するかについて幅広い知識を得た上で判断を下すことができるよう、情報の提供を明確に求めていた。またメンバーは、特許上の問題となる可能性のあることについて早期に情報を得ることが、特許権を利用して不当に利益を確保する企業の出現を防ぐために重要だと考えていた」と説明している。
Rambusは過去に、さまざまなテクノロジに関して標準を策定するJEDECのメンバーであった。同社は、JEDECのメンバーであった1990年代に、ある高速メモリチップの開発に取り組んでいたにもかかわらず、そのことを開示しなかったために非難されている。
しかしRambusの弁護士であるJohn Danforth氏によれば、同社はJEDECの開示方針には常に従っていたと強く主張しており、FTCの判断に対して連邦控訴裁判所で争う予定であるという。
FTCの主張によれば、RambusはSDRAMとDDR SDRAMのJEDEC標準に同社のテクノロジが採用されるのを待ってから、同標準を使用する他社に対して特許権使用料の支払いを求め始めたという。Rambusはその後、特許権の侵害を理由に複数の会社を相手取って裁判を起こしている。
FTCは2002年、Rambusがそのメモリチップ特許に関する計画を持っていたにもかかわらず、それをJEDECに開示しなかったことで同団体を欺いたとして独占禁止法違反で同社を告発した。しかしRambusは、行政法判事が同社に有利な判決を下したことにより、大きな勝利を手にした。
FTCはこの判決について上訴するとともに、問題を全員が参加する委員会で取り上げることにした。新たな結論を下した委員会が次に行うことは、RambusがそのDRAMテクノロジに対して請求できる特許権使用料に上限を設けるなどの是正措置の決定に対する取り組みとなる。
Rambusの弁護士Danforth氏は、「われわれは、是正に関する取り組みに注力している」と述べ、「われわれは、FTCが行えることと、行うべきことには限界があると考えており、われわれはRambusの特許権使用料が妥当であると考えている」と付け加えた。
Danforth氏によれば、FTCがRambusにとって「受け入れ」可能な是正措置を提示すれば、問題はこれで終わりになるという。
同氏によると、RambusはそのDDR SDRAMの製造に対して3.5%の特許権使用料を請求しているという。しかし、この業界の利幅は薄く、メモリのタイプによっては特許権使用料が1%であるため、このような使用料に二の足を踏んでいるメモリチップメーカーもある。
Rambusが、FTCの提示した是正措置を受け入れられないものと判断した場合、同社はさらなる法廷闘争に巻き込まれることになる。Danforth氏によれば、FTCが決定した是正措置を控訴裁判所に持ち込んだ場合、法廷闘争がさらに1年か2年延びることにことになるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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