キヤノンは8月2日、1920×1080画素のフルハイビジョン(フルHD)撮影がで きるHDVビデオカメラ「iVIS HV10」を9月上旬から順次発売すると発表した。 価格はオープン。実勢価格は15万円前後の見込み。
また、今回HD対応の機種を投入するにあたって、デジタルビデオカメラの新 ブランド「iVIS(アイビス)」を立ち上げた。「iVIS」は、「i(eye=瞳、愛) +vision(映像)」を意味し、見たままに撮影できること、感じたままに記録 できることをシリーズ共通のコンセプトにした。
発表会の席上、キヤノンマーケティングジャパンの芦澤光二専務取締役は、 「デジタル一眼レフカメラのEOS、コンパクトデジタルカメラのIXYなど静止画 でのブランドイメージは確立できている。今回のハイビジョンビデオ発売は“ 動画のキヤノン”の橋頭堡になる」と意気込みを語った。同社は従来のデジタ ルビデオカメラブランド「写真DV」で05年にはシェア15.6%を獲得してきたが、 06年秋には20%を目指す。販売店も現在の2500店舗から3000店舗へ拡大する方 針。
「iVIS HV10」は、新たに開発した自社製動画用CMOSセンサー「キヤノン HD CMOS」を搭載したのが特徴。EOS用のCMOS技術をHDカメラに応用した。これま で他メーカーから垂直方向1080画素対応のHDモデルは発売されていたが、家庭 用HDVで水平1920×垂直1080画素に対応したのは今回が初めて。小型で・省電 力の「キヤノン HD CMOS」と設計の見直しにより、HDVビデオカメラでは世界 最小の幅56×高さ104×奥行き110mmと最軽量の440gを実現した。
レンズも、光学10倍ズームのキヤノンHDビデオレンズを新たに開発。高精度 なガラスモールド非球面レンズを採用しながらユニットを小型化した。また、 幅広いブレを検知し補正する光学式手ブレ補正機能を搭載した。
さらに、業務用HDカメラ「XL H1」に搭載した高性能映像エンジン「DIGIC DV II」や高速でピント合わせできる「スーパークイックAF」も搭載した。記録 媒体はミニDVカセット。HDVで最長80分の録画が可能。静止画はminiSDカード にJPEG方式で保存できる。液晶モニターは2.7型ワイドを採用。本体カラーが グラナイトブラックは9月上旬、バーニッシュシルバーは9月中旬に発売する。 「デジタルビデオカメラといえば、シルバーが主流だが、今回は最先端の技術 をブラックに期待をしている。生産比率も7:3でブラックの比重を高くしてい る」(同)という。
同時に、片面2層記録で長時間録画が可能なDVDビデオカメラ「iVIS DC22」 を9月上旬に発売する。価格はオープンだが、実勢価格は9万円前後の見込み。
芦澤専務取締役は、「デジタルビデオカメラは、テレビ市場と同様に当面は SDとHDが混在するがゆくゆくは必ずHDの時代となる。その中で、新ブランドと 新技術で飛躍し、静止画も動画も強いキヤノンを目指す」と締めくくった。
なお、今回、HDD内蔵モデルを投入しなかったことについて、キヤノンのイ メージコミュニケーション事業本部の国吉孝副事業部長は、「HD映像でミニDV カセットでも約1時間の録画とHDVフォーマットを採用したことによる画質の確 保ができるために充分だと判断した。また、HDDに録画した場合には、2次媒体 に落とすことを考えなければならない。今後はブルーレイディスクなどのイン フラの状況も見ながら検討していきたい」と語った。
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