あるクリック詐欺訴訟で、Googleが示していた総額9000万ドルの和解案に対しアーカンソー州の判事が最終承認をした。Googleが示す和解金額は、オンライン広告の不正なクリックに対して料金を徴収されてきた広告主に対する賠償金として妥当ではない、とする原告側弁護団の主張は退けられた。
アーカンソー州ミラー郡巡回裁判所のJoe Griffin判事は裁判所命令の中で、(Googleの)和解案は「公正、妥当、かつ適当である」と判断したと述べ、原告側の異議を退けた。この命令は米国時間7月26日に署名され、翌27日に発表された。
「当裁判所は、そこに具体化されている契約条項および和解案を承認することが、結果的に当裁判所および訴訟当事者らにとって時間や資源の大幅な節約につながる。また正義の追求を促進することにもなると判断した」(Griffin判事)
同判決が下される前に、インターネットマーケティングの専門家であるニューヨーク大学情報システム学教授のAlexander Tuzhilin氏が、第三者的立場からの報告書を裁判所に提出した。Tuzhilin氏はその中で、ペイ・パー・クリック式広告システム上のクリック詐欺に対するGoogleの対策は「妥当なものだ」と結論付けている。Tuzhilin氏はその報告書を21日にアーカンソー州の裁判所に提出し、それを受け24日に審問が開かれた。
Googleの法務顧問代理を務めるNicole Wong氏は、「(Googleの)和解案が広告主にとって適切かつ公正であるとGriffin判事が認めてくれたことを喜ばしく思う」と述べ、さらに「われわれは今後も不正なクリックに対する効果的な管理を継続し、広告主の皆様の投資に対し、多くのリターンを提供したいと考えている」と語った。
今回の判決について、元の原告の弁護団に電話でコメントを求めたが、返答はなかった。現在、Googleに対する別のクリック詐欺訴訟に関わっており、今回の和解に対して異議を唱えていたBrian Kabateck弁護士は、今回の判決には失望したものの、驚きはなかったという。
「われわれは控訴し、引き続きこの和解案に異議を唱えていく所存だ」とKabateck氏は語る。同氏によると、7月19日現在、損害賠償請求の申し立て件数はおよそ7000件に達し、請求総額は25万ドルに上るという。
クリック詐欺に多く見られる手口は、自分のサイトに貼り付けた広告を自分でクリックして収入を増やしたり、広告予算を圧迫しようとライバル企業の広告をクリックしたりするものだ。
アーカンソー州のこの裁判は2005年2月、Lane's Gifts & CollectiblesとCaulfield Investigationsの2社が、同州テクサーカナにある州立裁判所にて、Googleなどの検索エンジン会社を告訴したところから始まった。当時原告側は提訴理由として、検索エンジン各社が広告主に対し、詐欺や悪意を持って、正当な商取引とは言えない形で行われたクリックに対し、クリック代を請求したことを挙げていた。
2006年4月に提出された和解案によれば、Googleは弁護士にかかった料金として3000万ドル、影響を受けた広告主へのクレジット提供として6000万ドルの総額9000万ドルの和解金を支払うことになっていた。この和解は、Yahoo、Lycos、Miva、Go.com、LookSmartなどのほかの被告には適用されない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス