重石のとれた日本オラクルは業績も好調

 株式市場では、依然として主力IT・ネット関連銘柄の株価下落傾向に歯止めがかからないなかで、市場関係者の一部はデータベース管理ソフトの大手である日本オラクルの業績推移の堅調さを評価する見方が浮上している。

 日本オラクルが7月6日に発表した2006年5月期の決算(非連結)は、売上高915億円(前々期比10%増)、営業利益321億円(同12%増)、経常利益322億円(同12%増)、税引き利益189億円(同12%増)の2桁増収増益となった。経常利益は2001年5月期の321億円を5年ぶりに上回り、過去最高益を更新した。これは、データベースとビジネスアプリケーションを合計した新規ライセンス収入が前々期比9.5%増と高い伸びを示すなど、利益率の高いシステム技術支援などのサービス部門が好調な推移をみせ、主力のソフトウェアプロダクト事業も順調な推移をみせたことによる。

 同時に会社側が明らかにした、2007年5月期の業績見通し(非連結)は、売上高1010億円(前期比10%増)、営業利益355億円(同11%増)、経常利益355億円(同10%増)、税引き利益209億円(同10%増)と連続で2桁の増収増益を見込んでいる。

 プログラム更新など、利益率の高いサポートサービス事業が好調に推移する見通しに加え、データベース、統合基幹業務システム(ERP)などのソフトウェアプロダクト事業の拡大も見込まれている。具体的には、日本ピープルソフトと日本シーベルの統合で設立された日本オラクルインフォメーションシステムズ(OIS)との協業を加速するという。

 同社の新宅正明社長は、「当社とOISの製品によるクロスライセンス販売でシナジーを発揮し、アプリケーションビジネスを拡大させていく」としている。こうしたことから、IT投資の回復基調継続が予想されることや、中小企業向けのマーケットでのシェア拡大が期待されている。

 さらに、株価面でプラス材料として注目したいのは、2006年5月末時点で少数特定者持ち株比率は75%を下回り、東証の上場廃止基準をクリアした模様だ。今後正式な有価証券報告書の提出後に東証が判断するため、正式決定は9月以降となるものの、これまで株価上昇の重しのひとつとなってきた“上場廃止基準抵触懸念”が払拭されることになりそうだ。

 同社の株価は、4月10日に6100円の高値をつけた後、全般相場の下落に連動するかたちで調整を強いられ、約2カ月後の6月8日には4620円まで下落した。その後一時反発に転じる局面はあったものの、先週末21日時点では5000円を挟んだ小幅値動きとなっている。

 2007年5月期の業績見通しが連続の2桁増収増益で、しかも最高益更新という業績の堅調さや、主力IT・ネット関連銘柄の予想PER30倍に割高感は乏しいうえ、配当利回り3%超という高配当利回りなどを考慮すると、現在の株価水準5000円は割安といえそうだ。全般相場が落ち着きを取り戻せば、中期的には6000円台での活躍は十分期待できそうだ。

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