大手電話会社のAT&Tが、違法性の疑われている国家安全保障局(NSA)の広範なテロリスト監視プログラムに協力したとして提訴されている集団代表訴訟で、被告である米国政府とAT&Tは裁判所に同訴訟の棄却を求めていたが、連邦判事は米国時間7月20日、この請求を退けた。
米政府は、同訴訟の主題や証拠には「国家機密」が含まれているため、同訴訟を棄却すべきと主張していたが、サンフランシスコにあるカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所のVaughn Walker判事は、この政府の主張に異議を唱えた。
Walker判事は72ページに及ぶ命令書(PDFファイル)の中で次のように述べた。「当裁判所としては、政府とAT&Tが公開した内容を根拠に、この訴訟を継続するだけで、国家機密が害される『相当な危険』が発生すると結論づけることはできない。」
さらにWalker判事は、異なる3つの根拠に基づいてAT&Tによる同訴訟の棄却請求を退けた。
この訴訟は、電子フロンティア財団(EFF)が1月に提起した。EFFは、AT&TがNSAに同社の通信施設を開放し、多くの米国市民の通話や電子メールの監視に利用させたと主張した。そのような監視活動は、米国憲法に規定されている言論の自由やプライバシー権に反するだけでなく連邦盗聴法にも反していると、EFFは主張する。
EFF側の弁護団の1人で、Heller Ehrman法律事務所に所属するRobert Fram弁護士は、「(20日に下されたWalker判事の判決は)米国の全市民のプライバシー権やセキュリティ権の正当性を証明するものだ」と語った。
EFFのスタッフ弁護士のKevin Bankston氏は電話会議で、EFFは今回の判決に「大変満足」しており、現在、証拠開示手続きに向けて準備を進めていると語った。
一方、司法省とAT&Tは、同判決に対して異議を申し立てる権利を有するが、まだ権利を行使するか否かは明らかにしていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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