EMI、Universal Musicなどのレーベル企業を抱える国際レコード連盟が数週間以内に雅虎中国(Yahoo!中国)を著作権法違反で提訴することが明らかになった。著作権法違反の疑いのあるサービスは雅虎中国の提供する音楽ダウンロードサービス「雅虎音楽捜索」。
国際レコード連盟の会長であるJohn Kennedy氏は「雅虎中国は会員(レーベル企業)の権利を侵しつづけてきた。そこでわれわれは訴訟を起こすことを視野に入れた。もちろん願わくばお互いが協議して問題を解決したい」と語る。
対して、目の前に訴訟が迫る雅虎中国はCNET中国の記者に対し「雅虎音楽捜索が提供するのは目録であって、違法コンテンツ自身ではないから権利侵害ではない」と反論する。加えて雅虎中国は「現在、EMI、Universal Musicらと業務提携で協議している最中だ」と語る。
提供するのは目録(URLリンクの集まり)だから問題ないというのは疑問だ。2005年レーベル連合が雅虎音楽捜索と同様のコンセプトの「百度mp3捜索」を訴えたときも百度は同様の反論をした。しかし中国の法廷はその反論を認めなかった。音楽ファイル検索サービスの提供にとどまらず、中国ポップ、洋楽、日韓音楽などにカテゴリ分けし、人気の音楽ランキングをリストアップすることで、検索せずにマウスクリックだけで海賊版音楽がダウンロードでき、結果的に利用者を合法性があるかどうか不確定なコンテンツに誘導しているということが、違法性の決め手となった。雅虎音楽捜索のサービスも百度mp3捜索と同様「目録を提供している」ことから、百度と同様の道理で敗訴する可能性は高い。
一方で雅虎中国と、その親会社の阿里巴巴は2005年末より中央電視台など中国のコンテンツベンダーと業務提携を結んでおり、その流れで国際的なレーベル企業と業務提携を行い、裁判沙汰を回避するという可能性もある。
裁判の鍵となるのが、7月1日より施行された「信息网絡(情報ネットワーク)伝播権保護条例」により、百度や雅虎などの検索サービス提供者は権利人(コンテンツベンダー)に通知をし、権利人が侵害と認めたコンテンツに関してのみ検索サービス提供者はリンクを削除する義務が生じるようになった。この新条例により、解釈次第では、検索サービス提供ベンダーは新条例を守っていれば責任はなく、違法コンテンツを通知しないコンテンツベンダーに海賊版流通の責任があるとも捉えることができる。
結末は裁判沙汰となるのか。裁判となったとき判決はどうなるか。この結果は将来の中国におけるネット上の海賊版音楽流通のあり方が見えてくるものとなるだろう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」