顧客関係管理(CRM)業界では、OracleがSiebelとPeopleSoftを買収するなど、企業の合併が相次いだが、調査会社Gartnerのアナリストらは、同業界の整理統合の動きは今後も続くと予想している。
Gartnerのアナリストらは、最新のリサーチノートの中で、「CRM市場における整理統合の動きは今後も続く」とした上で、過去2年間で「特に注目すべき」12件の買収を挙げている。
GartnerはCRM業界で整理統合が進んでいる1つの理由として、CRM企業の創業者や企業の取締役会の間に広がる幻滅感を挙げている。CRM企業の創業者らは(買収に対して)抵抗もせず会社を売り払っており、また各CRM企業の取締役会では、成長の遅さ(あるいはマイナス成長)に対する失望感が広がっていると同社は分析する。
これらの要因が、将来のさらなる整理統合を暗示している、とGartnerは指摘する。また、市場でサービス型ソフトウェア(software-as-a-service:SaaS)モデルの誇大な宣伝が行われている点も1つの要因として挙げられる。Salesforce.comなどがCRM市場でSaaSを大々的に宣伝して成功しており、ソフトウェアプロバイダーに大きなプレッシャーを与えている。
Gartnerによると、CRM市場は業界経験が最も長い企業にとっても難しい市場だという。「Oracleでさえ、保守サービスでPeopleSoftやSiebelほどの高い売上を上げられるCRMソリューションをコスト効率良く開発するのは不可能と判断した」と同社は指摘する。
しかし、CRM市場の勝者となるのは、SiebelとPeopleSoftを買収したOracleではなく、Microsoft、業界最大手のSAP、Salesforce.comの3社だろうとGartnerは予想している。
ソフトウェア事業分野で最大手企業2社を買収したOracleだが、同社は今後もCRMベンダーの買収を続ける、とGartnerは見ている。「(Oracleは2007年中に)分析会社、業界に特化したソリューションベンダー、人材管理の自動化技術のベンダー、(オンデマンド型)SaaSベンダーの買収を目論んでいる」(Gartner)
MicrosoftとSAPの2社は、足りない技術を発見するとその技術を買収するのがパターンだが、Salesforce.comも「(買収を通じて)企業規模を拡大し、業界最大手2社との差を縮めたいと考えており、そのための資金も有している」とGartnerは指摘する。
Gartnerが先週発表したCRM市場の最新の市場シェアランキングによると、トップはSAPで、2005年の売り上げは14億7000万ドル、市場シェアは25.6%だった。第2位はSiebelで、同年の売り上げとシェアはそれぞれ9億6600万ドルと17%だった。第3位のOracleは、PeopleSoft(売り上げ3億6700万ドル、6.4%)の売り上げを合わせたても13億ドルで、SAPの売り上げを大きく下回った。
CRM業界の希望の星は依然としてSalesforce.comだ。Gartnerのデータによると、同社は2005年に77%増という大幅な成長を遂げた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」