新興市場全般の軟調相場が依然として続いているなかで、ネットオークション「ビッダーズ」を中心に電子商取引を展開する東証マザーズ上場のディー・エヌ・エー(DeNA)の株価が反発の兆しを見せはじめてきた。
前2006年3月期の連結業績の好調に加えて、今2007年3月期の業績予想も大幅な増益を見込んでいる。同社は、新興市場上場のネット関連銘柄のなかでも株価的に非常に強い動きで抵抗力を示している。
同社が4月25日に発表した2006年3月期の初の連結決算は、売上高64億2900万円(連結決算は今回からの公表のため、前々期の単独決算比2.2倍)、経常利益18億8500万円(同4.3倍)と非常に高い伸びを達成した。
モバイル事業では、KDDIとの業務・資本提携によって携帯電話専用オークション事業を分社化して2005年6月に設立した子会社「モバオク」の有料(月額315円)会員数が順調な増加をみせたことが業績の向上に大きく寄与した。さらに「ポケットアフィリエイト(成功報酬型広告)」については、営業活動の強化により広告主および、掲載媒体数が順調に拡大した。また、2006年2月から携帯電話専用ゲームサイト「モバゲータウン」をスタート。ゲームはもちろん、日記や掲示板、サークル、アバターなどのコミュニティ機能が好評を得て会員数が増加している。
Webコマース事業では「ポケットビッダーズ」の強化に取り組んだ。また、インターネットでは、「ビッダーズ」でしか購入できない有名パティシエのスイーツを取り扱う「お取り寄せスイーツ」のコーナーを中心に、テレビ、雑誌などのメディアへの露出を強化したことから「ビッダーズ」の知名度が向上したことが寄与した。
今期については、モバイル事業、Webコマース事業、ソリューション事業の3事業をベースとしながら、今後は特に、モバイル分野に経営資源を重点的に配分していく方針。さらに、モバイル事業では「モバオク」の有料会員数の増加に取り組むと同時に、ネット決済サービスにも進出する。また、「モバゲータウン」ではコミュニティ機能やゲーム数の拡大を通じて集客力の強化を図る。「ポケットアフィリエイト」では、ネットワーク規模の一層の拡大と広告クライアントの新規獲得に注力する。
こうしたことから、2007年3月期の連結業績については売上高108億円(前期比68%増)、経常利益28億3000万円(同50%増)と予想している。
野村証券は6月5日付で、DeNAの投資レーティングを新規に「1(5段階での最上級で“強気”を表す)」としており、これが株価上昇の刺激材料となったようだ。野村証券では「DeNAのオークションやコミュニケーション系の携帯サイトのページビューが、Yahoo!JAPANや楽天市場など巨大サイトの過去のトレンドを上回るペースで拡大している」という。そして「短期業績のモメンタムが強い上に、中期成長率は年率42%と、EC、広告、携帯の高成長企業の中でも最上位の水準が予想される。また、妥当時価総額は1812億円(1株当たり38万円)で、現在の株価はこれを大きく下回っており、割安感が非常に強い」としている。
先週末6月9日のDeNAの終値は26万9000円と、この野村証券の試算した株価を大きく下回っている。中長期的には、1月16日につけた年初来高値44万6000円を目標株価とした上昇相場に復帰することが期待できそうだ。
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