家庭でIPTVを利用できるようにするために、次世代のWi-Fi技術が利用される日も近いかもしれない。
Wi-FiチップメーカーのAirgo Networksは米国時間5月30日、Caton OverseasとSTMicroelectronicsが、Wi-Fi経由でビデオコンテンツを配信する技術として、同社最新のワイヤレス技術を採用する決定を下したと発表した。Catonは、アジアや欧州の衛星放送局やケーブルテレビ局にセットトップボックスを供給する中国のメーカー。STMicroelectronicsは、SiemensやCisco SystemのScientific-Atlantaといったセットトップボックスメーカーにチップを供給している。
Airgoは既に、Linksysなどの無線ネットワーク機器ベンダーに対し、MIMO(Multiple Input, Multiple Output)技術を利用した高性能Wi-Fiチップを供給している。MIMOは、Wi-Fi信号の到達範囲と通信スループットを向上させる技術で、次世代Wi-Fi規格である802.11nでは重要な役割を果たす。
そのAirgoが今度は、高品質ビデオの配信に耐えられるようMIMO技術をチューニングし、通信スループットや信号の到達範囲、信頼性を向上させることに成功したという。「True MIMO Gen3」と呼ばれるAirgoの次世代チップは、557平方メートルという広さを誇るAirgoのモデルハウスでテストを行った際に最大240Mbpsの転送速度を達成したと、AirgoのマーケティングディレクターDave Borison氏は語っている。これだけの速度があれば、高品位のTV番組を3チャンネル分送信するにも十分だという。
AT&TやVerizon Communicationsなどの通信事業者各社は、消費者にIPTVサービスを消費しようと、多額の投資を行っている。しかし、今日の家庭の大半には、IPサービスの提供に従来から利用されてきたイーサネットケーブルが敷設されていない。したがって、通信事業者らは複数台のテレビにIPTVサービスを配信する手段を探さなくてはならないという課題に直面している。
Wi-Fiはイーサネットケーブルの代替となり得る技術だが、最近までは、データ通信以外の用途に対応できるだけの性能も信頼性も確保できていなかったというのが実状であった。
「これまでは、複数台のテレビにIPTVサービスを配信するには、有線ケーブルを使う以外に方法がなかった。これまでのワイヤレス技術では、ケーブルに代わるパフォーマンスを達成できなかった。しかし、それが今度は可能になった」(Borison氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」