MicrosoftはWindows Vistaに、コンピュータ同士が簡単に情報をやりとりできる特別な方法を持たせようとしている。
2007年初めに一般向けの発売が始まる予定のWindows Vistaには、近くにあるノートPC同士が情報を共有するためのコラボレーション機能が新たに搭載される。
この「People Near Me」という技術は、Microsoftが社内のソフトウェアプロジェクトで利用しており、またサードパーティの開発者らもこれを使っている。同社はこの技術をベースにした「Windows MeetingSpace」というプログラムをVistaに組み込み、ユーザーがファイルを共有したり閲覧できるようにしている。
Windows Vistaでは、検索機能や描画機能が強化されるほか、さまざまな機能が追加されるが、このWindows MeetingSpaceもそうした新機能の1つだ。Microsoftはこれらの新機能によってWindows XPからのアップグレードやVista搭載PCの新規購入を促せればと考えている。同社は以前、Vistaの発売を今年の年末商戦に間に合わせたいと考えていたが、その後本格的な販売開始を1月へと変更した。
MeetingSpaceは、2つの状況を想定して設計されている。その1つはユーザーがコーヒーショップでデータを交換したいというシナリオで、もう1つは会議の出席者同士が1つのプレゼンテーションを同時に見たり編集したりできるようにしたいというものだという。
Windowsクライアント事業部のディレクターMika Krammer氏は、「すぐにセッションを開始し、ほかのユーザーのマシンにプレゼンテーションを表示できる」と語っている。
この機能を利用するには、ノートPCにWi-Fi接続機能が内蔵されている必要がある(ただし、現在ではほぼすべてのノートPCにWi-Fi機能が搭載されている)が、ピアツーピア(PtoP)で接続するためインターネットにアクセスするは必要ない。セッションは、Vistaのほぼすべてのエディションでも可能になる。ただし、Home Basic版ではセッションへの参加は可能だが、自分でこれを開始することはできない。
「セッションに参加できないことはないようにした」(Krammer氏)
Windows XPなど、他のWindows OS搭載PCでも同じようなアドホックネットワークは可能だが、VistaにはMeetingSpaceプログラムが内蔵されるほか、近くにいるユーザーとの接続もさらに堅牢なものになる。
これまで「Windows Collaboration」と呼ばれてきたこの機能は、Windows Vistaの過去のテスト版にも搭載されていたが、Microsoftは先ごろ公開したBeta 2でこのプログラムの名称を変更し、動作の安定度を高めたと、Krammer氏は述べている。
PC同士を簡単に接続しあえるようにすると、とくに意図しない相手のマシンにだまされて接続する可能性など、セキュリティ上の問題が生じてくる。Windows XPではPtoPのオプションでネットワーク名くらいしか表示されず、またそれが無線インターネットオプションとならんで表示されているため、この問題がすでに存在している。
しかしVistaでは、ユーザーの接続しようとしている相手や、彼らが接続を受け入れる意志があることがすべてわかるような手段を講じているとMicrosoftは説明している。ユーザーは「People Near Me」機能のなかに自分のマシンの名前を表示させるかどうかを選択でき、また特定の相手からの招待を断ることもできる。一方、セッションをホストしているマシンのユーザーはやりとりの内容がブロードキャストされないようにすることもでき、また参加者にパスワードの入力を求めて、意図せぬ人間の参加を防止することも可能になっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス