日本生まれの検索連動型モバイル広告に熱い視線--サーチテリア

永井美智子(編集部)2006年05月26日 18時13分

 インターネット広告市場で、現在最も成長している分野の1つが検索連動型広告だ。検索サイトでユーザーが入力したキーワードに関連した広告を掲載することで、キーワードに対して関心を持つユーザーだけに広告を表示できることから、広告効果が高いとして人気を集めている。

 これはモバイル広告の分野も例外ではない。日経広告研究所、日経メディアラボ、ディーツーコミュニケーションズの3社の調査によれば、2005年度にモバイル広告を出稿した企業のうち、35.7%が検索連動型を利用したという。

 検索連動型広告は米Overtureが開発したものだが、実はモバイル向けの検索連動型広告は日本で生まれたものだ。オーバーチュア(日本法人)の社員であった中橋義博氏らが設立したサーチテリアが、2004年8月に初めて開始した。現在ではシーエー・モバイルやジェイ・リスティングなど複数の企業が参入しており、4月にはグーグルも同様のサービスを始めているが、サーチテリアは他社にない独自の技術でこの市場を開拓している。

Overtureの特許に抵触しない仕組み作り

 サーチテリアの技術の特徴は、検索連動型広告に表示確率という概念を持ち込んだところにある。検索連動型広告の生みの親であるOvertureの場合、1クリックあたり支払う入札額が高い順に広告が表示される。これに対してサーチテリアは、より多くの入札額を提示した広告主が、より上位に表示される確率が高まるという方式を採っている。

infoseekモバイル 画面1:サーチテリアの広告は、入札額が多いほど上位に掲載される確率が高くなる。画面はサーチテリアの広告を採用したinfoseekモバイルの検索結果

 具体的な仕組みは次の通り。例えば、広告主がA社、B社、C社の3社とし、それぞれ1クリックあたりの入札額が、100円、80円、20円とする。入札額の合計に対する各社の金額の割合が、それぞれ広告が1番上に表示される確率となる。この場合、入札額の合計は200円となり、各社の広告が最上位に表示される確率はA社が50%、B社が40%、C社が10%となる。

 なぜこのような方式を採用しているのだろうか。中橋氏によれば大きく2つの理由があるという。1つは、Overtureの持つ特許に抵触しないようにするためだ。検索連動型広告はもともとOvertureが開発したもので、同社は多くの関連特許を持っている。ライバルのGoogleを特許侵害で訴えたこともあり、Googleは結果としてOvertureの親会社であるYahooに、特許のライセンス料として270万株の自社株を提供することとなった。

 サーチテリアは確率という概念を持ち込むことで、Overtureの特許を侵害しないようにしたのだ。

 さらにもう1つは、モバイルならではの事情だ。PCサイトに比べてモバイルサイトは画面の大きさに制約があり、広告が表示できるスペースが限られている。このため、広告枠が1つしかないというケースもある。この場合、入札額が最上位の1社しか広告が掲載されない。大きな資本を持つ企業がキーワードを買い占めてしまうと、2位以下の企業が入札自体をあきらめてしまう可能性があり、結果として広告売上が伸び悩む恐れがあるのだ。

 これに対し、確率を競う方式であれば、入札額の低い企業であってもいくらかの確率で広告が表示される。このため広告主の数が増え、売上増につながる。

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