米国時間5月22日、携帯デバイス向けに特別に作られた、初めてのドメイン拡張子が利用できるようになった。もっとも一部の批評家は、新たなドメイン名の運用には必然性がないと批判している。
2005年夏にICANN(Internet Corporation of Assigned Names and Numbers)から新ドメイン名の割り当てを任命されたMobile Top Level Domain(mTLD)は、22日に同ドメインの初期登録受け付けを開始した。mTLDは、Ericsson、Google、Microsoft、Nokia、サムスン電子、T-Mobile、Vodafoneなどの企業が参加しているコンソーシアムから資金援助を受けている。
今日では携帯電話とインターネットが広く利用されるようになっているが、(米国では)携帯電話を使ってネットサーフィンをするユーザーはほとんどいないと、専門家は話す。携帯電話からウェブ上のコンテンツにアクセスする場合、長いWAP(Wireless Application Protocol)アドレスを入力する必要のあるサイトや、一般的な「.com」アドレスしか持っていないサイトが混在しているため、快適に閲覧できないというのがその理由である。エンドユーザーには、どのサイトが従来のウェブアドレスを採用していて、どのサイトがそうでないのかを知る手だてはないのである。
このたび運用が始まった「.mobi」ドメインは、こうした問題の有効な解決策として期待されている。これによりユーザーは、.mobiという拡張子が付与されているアドレスでは、携帯デバイス向けのコンテンツを参照できることを、あらかじめ予想できるようになる。
「携帯電話ユーザーが利用しやすいように作られているサイトもあれば、そうでないものもある。われわれは、携帯デバイスからアクセスできるサイトを簡単に見分けるための取り組みを進めている。また、携帯デバイスにおけるネットサーフィンのエクスペリエンスに一貫性を持たせるため、コンテンツ開発者が利用するルールを作り、ベストプラクティスを推奨してきた」と、.mobiおよびmTLDの広報官Vance Hedderel氏は述べている。
Hedderel氏によれば、初日だけで何千単位にも上るドメイン名が登録されたという。サイトを登録した企業には、Yahoo、Google、20th Century Fox、Nokia、Sony、Vodafone、Microsoftなどが含まれている。
しかし、モバイル開発コミュニティ全体が、新たにドメイン名を登録することでモバイルインターネットの利用率が大きく上昇すると考えているわけではない。モバイルウェブサイト向けの課金ソリューションを提供しているBangoの共同設立者で、マーケティング担当バイスプレジデントも務めるAnil Malhotra氏は、新たなドメイン名の登場によって、むしろ一時的にモバイルインターネットの開発が鈍化する可能性があると指摘した。
「コンテンツの所有企業にとっては、二次的なモバイル用URLを利用するより、単一のURLを用いてマーケティングをしていく方が好ましい。新しいサイトのアドレスを宣伝したり、ユーザーの認知度を上げたりするには、時間もコストもかかる。消費者自身も、最初のうちは混乱するだろう」(Malhotra氏)
ユーザーが携帯電話からアクセスしているのか、あるいはPCから閲覧しているのかを判断し、コンテンツを最適なフォーマットに変換する技術を、モバイルウェブサイト開発者らは積極的に活用すべきだと、Malhotra氏は言う。GoogleやYahooなどの大企業では、こうした取り組みをすでに行っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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