デロイト トウシュ トーマツ(DTT)は5月23日、2006年テクノロジーFast500グローバルCEO調査を実施し、調査レポートを発表した。
デロイト テクノロジー Fast500プログラムは、ソフトウェア、インターネット、コンピュータ、ライフサイエンス、コミュニケーション、セミコンダクターなどのテクノロジー業界を対象に、アジア太平洋、北南米、EMEA(欧州、中東、アフリカ)地域における急成長中のテクノロジー企業500社の功績を讃えることを目的に発足した企業ランキングだ。
調査は、2005年のデロイト テクノロジー Fast500を受賞した企業のCEOを対象として、DTTのTMT(Technology, Media, Telecommunications)グループが実施した各地域CEO調査を、2005年第4四半期に集計したもの。回答を得ることができたCEOは524名で、地域別内訳は、アジア太平洋地域が47%、北南米地域が28%、EMEA地域が25%となっている。アンケートでは、戦略やマーケティングから経営、財政にいたるまで、あらゆる種類のビジネス課題を扱っている。
調査レポートによると、世界の急成長テクノロジー企業のCEOは、自社が高水準の成長維持をすることに対して、かつてない強い自信を示しており、「非常に自信がある」または「かなり自信がある」と答えた回答者の割合は、前回2005年調査時の78%から83%に増加した。
しかし、欧州における経済の不安定性や米国における金利上昇により、テクノロジー業界の成長は頭打ちを迎える可能性もある。たとえば、EMEA地域のCEOは「非常に自信がある」(16%)よりも「かなり自信がある」(64%)に回答が偏っており、2つの選択肢が同じような割合を示しているアジア太平洋地域、北南米地域のCEOに比べて、やや勢いに欠けるように見える。
テクノロジー企業はキャッシュフローや資金調達よりも、収益成長に集中している。自社の最大の財政課題についての問いに、「売上増大」とする回答が50%以上でトップに挙がり、次の「キャッシュフロー管理」(25%)に大差を付けた。CEOとしての最大の個人的課題についても、「資本調達」は4%未満で最下位に近い。その中で、北南米で「資本調達」の割合が2005年度調査時から倍増している点は注目に値する。これは、連邦準備制度理事会による最近の金利引き上げに関連しているものと見られる。この政策は当面続くと予測され、経済成長の鈍化につながる可能性がある。CEOは「収益達成と維持」を引き続き重視しており、特にアジア太平洋地域では2005年度調査時よりも大幅に増加し、35%に上っている。
また、回答者の80%近くは、戦略的な提携またはパートナーシップを結んでおり、それが自社の収益成長に貢献していると答えている。さらにその半数は、自社の成長の26%以上が戦略的関係に起因するものだとしている。こうした関係に基づく成長は増加を続けるものとDTTは予測している。こうした動きは世界のテクノロジー業界全体で、特に研究開発(R&D)の分野において増えており、自社の従業員を増やすのではなく、自社の能力を拡大するための方法として、パートナーシップや共同作業へのシフトが目立っている。
テクノロジー業界の成長に対する最大の脅威については、「インド、中国のような新興勢力の競争力増加」が今回は2位に低下した。アジア太平洋地域では、前年度調査時よりも懸念が約30%から約22%へと大幅に低下している。
今後3年間で最も成長率の見込めるテクノロジー業界の分野で、「インターネット、IP関連」と「ワイヤレス通信サービス」が上位に挙がり、中期的には「ライフサイエンス」分野も、特にアジア太平洋地域と北南米において大きな成長が見込まれている。
その他、今後12カ月間にテクノロジー業界の成長を脅かす要因としては、「政府による過度な規制」が挙げられ、2005年度調査時の4位から上昇してトップとなった。今後12カ月間に最も成長性の見込める分野としては、「ワイヤレス通信サービス」の回答が24%とトップに挙がった。また、「インターネット、IP関連」分野も回答22%と引き続き成長の基盤となって、融合が進むテクノロジー、メディア、テレコミュニケーション分野の交差点の役目を果たすと見られる。2005年同様、回答者の大半は買収や合併を通じた成長よりも、有機的(内部的)、収益性の高い成長に注力する姿勢を堅持している。また、他地域の市場よりも地元市場にいっそう重点を移しつつある。最も成長を見込める市場地域として地元地域を挙げた回答者はおよそ70%にのぼり、2005年グローバルCEO調査の約60%を上回った。
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