その高価な価格設定の一因がBlu-ray Discに対応した製品であるということから、ちょうどPS2が廉価なDVDプレーヤーとして普及したのと同様に、Blu-rayプレーヤーとしての需要が期待されるのではないかという議論もある。
現在、競合陣営の東芝(ソニーにとって東芝はCellチップの製造パートナーでもあるのは皮肉だ)のHD DVDプレーヤー「HD-XA1」が9万円台半ばで販売されていることを考えれば、Blu-rayプレーヤーも同じような価格帯で販売される可能性は大きい。とすれば、PS2とDVDの時と同様、PS3が安めの「Blu-rayプレーヤー」として売れていくというのは、それはそれで考えうる可能性ではある。
とはいえ、そもそもDVD全盛の現在、Blu-rayなどの次世代光ディスクの存在意義はどのくらいあるのか。あるいは、再生専用Blu-rayプレーヤーではなく録画可能な規格製品がすぐにリリースされるに違いなく、それまで買い控える顧客も多いだろうという読みもある。あるいは、市場に次世代ディスクに焼き込まれた映像ソフトが出回るまでは、ダメ。そもそもブロードバンドの台頭で、次世代光ディスク自体の存在意義も薄いといった憶測もあり、PS3のBlu-ray Discプレーヤーとしての普及ストーリーは堅牢なものではなさそうだ。
それでも、買う側から見れば、いかにBlu-rayに対応していようと、あまり安い買い物とはいえないという気持ちには変わりない。そもそも、「どうせ買うなら」といった消費心理はどちらかというと、後付けの説明になっている事が多いからだ。
家電量販店などに行って、「DVDプレーヤーがほしいのですが」といっている顧客に「実は、PS2がお得ですよ」といって紹介する店員はいまい。むしろ、すでに何らかの理由でPS2の購入意図を持っていた人が、その意図を正当化する根拠として「PS2=廉価なDVDプレーヤー」説があったのではないか。
そもそも、1億台以上を売り切った今でこそ、ネットワークも標準装備した「うすちっちゃい」PS2のモデル「SCPH-700000/75000」であれば税込2万円前後で売られるようにはなっているものの、今から6年ほど前にPS2の初期モデル(SCPH-10000)は3万9800円(税抜き)で発売されたのだ。いかにDVDプレーヤーよりは安いという説明であっても、依然として安い買い物ではないし、専用機ではないため一般の人が副次的機能(=DVDが再生可能)を根拠に買い付けるものだったのではないか。
それをいうならPS3は多様な外部接続やさまざまな規格のディスクの再生も可能で、「お得感」はより大きい。その点において、PS2の初期モデルはHDDもEthernetにも対応しておらず、縦置きユニットも別売りであり、HDDユニットとネットワークアダプタを組み合わせた「BBユニット(40Gバイト外付けモデル:SCPH-10210)」を1万9000円(発売当時)を別途購入すると、計5万8800円となり、PS3の予価にきわめて近くなってしまうほどだ。
もちろん、これはPS2販売開始当時のお話であり、ネットワークインターフェースやWi-FiやBluetoothがどんな機器にでも搭載されるのは当たり前という現在では意味をなさない議論かもしれない。
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