サンフランシスコ発--今後の事業拡大を視野に入れ、SymantecはID管理や暗号化などの一連の管理サービス分野に参入することを検討していると、同社の最高経営責任者(CEO)が米国時間5月8日に語った。
SymantecのCEOであるJohn Thompson氏は、データセンターの管理やデータおよびオンライントランザクションの保護における唯一無二のサプライヤーとなるため、同社はこれらの分野への進出に関心を抱いていると述べている。
現地で開催されているSymantecの年次カンファレンス「Vision」で開幕基調講演を行ったThompson氏は、「コンプライアンスの必要性が増している今日、(ID管理は)非常に重要な分野となっている。他社はそうした技術をすでに市場に投入しているが、われわれもこれに取り組んでいこうと考えている。現時点ではSymantecはID管理事業を営んでないが、非常に大きな興味を持っている」と話した。
現在のID管理市場では、CAやIBM、Hewlett-Packard、Oracleが優位に立っており、Symantecは影響力を有していない。IDCの予測では、同市場は今後3年間で40億ドル規模にまで成長するという。通常のID管理ソフトウェアは、特定のIDに権限および制限を関連づけることで、システムのユーザーの身元を確認したり、システム内のリソースに対するアクセスを制御したりするものだ。
英国レディングのCanalysでアナリストを務めるAndy Buss氏は、ID管理市場への参入はSymantecにとって当然の流れだと述べている。「エンタープライズセキュリティを扱うなら、みずからのネットワークおよびアプリケーションに対するアクセスを安全化できるようになる必要がある」(Buss氏)
Buss氏はまた、こうした方向性は、ITサービス管理企業を目指すというSymantecの目標にもうまく合致すると指摘した。
暗号化に関する機能の提供により力を入れていこうと考える背景にも、似たような事情がある。この件に関して聴衆から質問を受けたThompson氏は、Symantecのバックアップ製品には限定的な暗号化機能しか搭載されていないが、複数の州政府がセキュリティ侵害対策法を制定したことで、これらの機能に対する需要が拡大していると説明した。
Thompson氏によれば、Symantecはバックアップやデータアーカイビング、電子メールに関するマネージドサービスを追加していくことも検討しているという。同社は、ホスティングサービスの人気が高まっていることに注目していると、Thompson氏は話した。
「Salesforce.comの成功からも、ユーザーがサブスクリプション方式を望んでいることは明らかだ。われわれは現在、セキュリティサービスのホスティングを行っているが、これをバックアップやアーカイビング、電子メールへ拡張していくのは、ごく自然な流れである」(Thompson氏)
SymantecはMX Logicと提携して、インスタントメッセージングおよびVoIPにおける電子メールのマネージドサービスに取り組んでいく予定だという。また、小規模企業向けのバックアップおよびアーカイビングサービスにも力を入れると、同社のエンタープライズセキュリティおよびデータ管理部門シニアバイスプレジデントのJeremy Burton氏は語っている。
Burton氏は、CNETの姉妹サイトであるZDNet UKのTom Espiner氏に対して、「われわれはMX Logicとのパートナーシップを拡張して、電子メールやその他のマネージドサービスに取り組み、ウェブを介した電子メールセキュリティソフトウェアの配信を行っていくつもりだ。中小企業向け市場では、バックアップおよびアーカイビングに関するソリューションの提供に力を入れる」と話した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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