同氏によれば、フィッシング業者にとっての最大の課題は、新たにだます相手を見つけることだという。人々のフィッシング攻撃に対する意識が高まるにつれ、攻撃者のターゲットは、より規模の小さい相手へと移り始め、ギリシャ語やチェコ語、フィンランド語といったさまざまな異なる言語にまで及び始めている。
攻撃の最大の標的が依然としてWindows PCであることに変わりはないが、今後は携帯電話を標的にした活動も増えてくるとみられる。F-Secureによれば、現在179件もの携帯電話向けウイルスが検知されており、何万台という携帯電話の感染が予測されているという。
Nokiaは、この対応として、あらかじめウイルス対策機能が組み込まれた携帯電話の発売を開始した。また、新たにリリースされたSymbian OSのバージョン9ではセキュリティが強化されており、一部の携帯電話向けウイルスについては、事前に被害を防止するのは可能かもしれない。
だが、それもあやしい。F-Secureでは、つい最近、携帯電話における最初の悪質なJavaソフトウェアを検知した。これは、単にハイエンドのモデルだけでなく、ほとんどの機種に感染のおそれがあることを意味する、とHypponen氏は言う。また同氏は、3月にも、携帯電話でトロイの木馬ウイルスを発見している。このウイルスは、携帯電話に自らを移植し、割増料金が必要なロシアの電話番号に電話をかけるというもので、電話をかけるたびに、トロイの木馬を送り込んだ犯人が、5ユーロ(約6.04ドル)を手に入れるという仕組みだ。
しかしながら、ブロードバンドユーザーの数が全世界的に急増していることからして、インターネット犯罪者の主な関心は今後もボットネットに向けられるとみられる。Spamhouse Projectのウェブサイトにある、迷惑メール業者のブラックリストの上位10件はすべて、セキュリティ意識の低いユーザーのPCを次々にゾンビ化して、常に自分たちのネットワークを増強している。また、彼らの犯罪行動は、大量の電子メールを送りつけるということだけにとどまらず、児童ポルノや、ゆすり、詐欺にまで拡大している。
Trend Microでインターネットコンテンツのセキュリティに関する技術責任者を務めるDave Rand氏は、ボットネットは別の危険性も持っていると言う。同氏によれば、ボットネットによって得られる強力な計算能力が、インターネットのトラフィックの暗号解読に使用されるおそれがあるというのだ。もし、そうなれば(今のところ、その兆候はまだないが)、Eコマースはじりじりと営業停止に追い込まれる可能性がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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