ベンチャー企業のアライアンス戦略を成功させる秘訣を解き明かすセミナー「ITビジネス最前線〜成長を目指すITベンチャーにみるアライアンス戦略〜」が3月22日に開催された。独立行政法人情報通信研究機構、首都圏情報ベンチャーフォーラムが主催で、総務省、経済産業省、日本経済新聞社が後援。
セミナーは3部構成で、第1部は「情報通信ベンチャーが勝ち抜くために必要な経営〜こうして彼らは大手企業とのアライアンスを勝ち取った!〜」と題して、エイチアイの代表取締役社長兼CEOである川端一生氏、Lunascapeの代表取締役兼CEOである近藤秀和氏、jig.jpの代表取締役社長兼技術責任者である福野泰介氏をパネリストに迎えた。
エイチアイは、携帯ゲーム機やPDA、デジタルビデオ、カメラ、カーナビ、携帯電話などのデバイスで、3Dのアプリケーションをリアルタイムに動作させることが可能な3Dレンダリングエンジン・ソフトウェア「MascotCapsule」を主力に展開し、日本国内では大手3キャリアの携帯端末に搭載され、海外の端末にも700万台以上搭載されている。
川端氏は、大手キャリアに採用されるようになったきっかけは「携帯電話のコンテンツプロバイダとしてすでに地位を確立していたバンダイネットワークスと組めたことで、大手の端末に搭載されるようになった」と語った。同社は、設立当初から大企業との直接取引しかしないというポリシーがあったという。そこで、すでに構築していたバンダイネットワークスとコネクションを使ってキャリアへの展開がうまくいった。すでに認められているバンダイネットワークスを介さなければ、はなから相手にされなかった可能性が高かった。
また、タブブラウザを開発しているLunascapeでは、トヨタ自動車と組んでトヨタ車のプロモーション用にカスタマイズしたタブブラウザを提供している。このアライアンスが成功したことついて近藤氏は、「やることをきちんとやってきたという点が一番の大きい」と語った。たしかな技術があるのに失敗する例で一番多いのが、アライアンスする相手のメリットを十分に考えない場合だと指摘した。特にトヨタの場合は、個人情報保護法の施行により、メール会員を募って会員向けにマーケティングすることがやりにくくなったので、ブラウザを通じて個人情報を取得することなく情報を提供できる点をアピールして、それを共感してもらったという。
携帯電話用のJavaを使ったフルブラウザ「jigブラウザ」を開発しているjig.jpは、受託をしないことをポリシーにして、エンドユーザーに直接販売して収益を得ている。会員数を増やすために20社以上協業しているが、その中でもシャープなどと展開した携帯電話の端末購入者にjigブラウザをプレゼントするキャンペーンが効果があったという。福野氏は、アライアンスのきっかけについて、「大手企業に営業するときに、すでにjigブラウザを知ってもらっていたり、実際に使ってもらっていることも多く、これで話しやすくなる」とした。ユーザーに直接販売していることで、ある程度の人には認知してもらっているので、はじめから説明しなくても比較的スムーズに進むわけだ。
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