ネバダ州ラスベガス発--通信業界のトップたちが、新しい物差しを導入しようとしている。その物差しとは「ユーザー」だ。
当地で開催中の「TelecomNext 2006」トレードショーにおいて、Verizon CommunicationsやDisney、Time Warner Cable、NTTのトップが2時間のセッションに参加し、会場を埋めつくした参加者を前に、通信事業の将来について語った。参加したトップたちによれば、通信事業の未来は、コンテンツやサービスの契約先やその利用方法について多くの選択肢を与えられている消費者の手にかかっているという。
「消費者のお金の使い方が大きく変化している。われわれは柔軟なビジネスモデルを用意しなければならない」とDisneyの最高経営責任者(CEO)Robert Iger氏は述べた。「これまでは、コンテンツは王様だとよく言われてきたが、(今は)消費者こそが王様だ」(Iger氏)
VerizonのCEOであるIvan Seidenberg氏は、各家庭に光回線を引き込み、100Mbpsの通信帯域を実現するために膨大な規模の投資をしていると述べた。同氏によれば、消費者は通信速度の向上を強く求めているという。
Verizonが光接続サービスFiOSを提供する地域では、同社が提供するどの商品よりも速いスピードでサービスの普及が進んでおり、その平均普及率は14%に達していると、同氏は述べる。例えば、Verizonが半年前に初めてFiOS TVサービスを導入したテキサス州ケラーでは、見込み顧客のうちの30%以上がすでにサービスに申し込んでいる。
「こうした市場動向から、たくさんのビジネスチャンスが転がっていることが分かる。われわれは、業界の発展を考慮したうえで、さまざまな壮大なアイデアを検討し、正しい方向に進むための投資を行っている」(Seidenberg氏)
しかし、消費者が多くのコンテンツにアクセスするようになるにつれ、問題も発生している。DisneyのIger氏と、日本電信電話(NTT)代表取締役社長の和田紀夫氏は、デジタル著作権管理に関する懸念を表明した。
「著作権の侵害といった問題を解決する必要がある。コンテンツが保護されていない状況では、コンテンツに対する投資をサポートすることも難しい。通信機器メーカーやソフトウェアメーカーが支援してくれるならば、われわれも、自分たちの作ったコンテンツをより容易に配信できるように通信機器メーカーやソフトウェアメーカーに協力することができる」とIger氏は述べた。
Iger氏をはじめとする企業のトップたちはまた、政府の介入が、革新を阻害するとの懸念を表明した。このなかには、Time Warner CableのCEOであるGlenn Britt氏も含まれていた。
Iger氏は、ケーブル企業や通信事業者が(政府に)平等に扱われている限り、新規参入企業にもビデオコンテンツの販売権を平等に提供する取り組みをサポートしていきたいと述べた。また同氏は、Disneyが、ネットの中立性を確保するための新しい法案を支持しないことにも言及した。また、米連邦通信委員会(FCC)からテレビ番組をアラカルト方式で提供するように求められていることについて、反論した。
「政府の規制内容がどんなに魅力的に見えたとしても、これは、Disneyにとっても、本イベントの参加者のみなさんにとっても、消費者にとっても良くない。消費者は、選択肢が減っているにもかかわらず、より多くのお金を支払うことになる。自由な市場は機能している。テレビコンテンツの提供形態を構造化するために、政府が介入する余地などないのである」
Time Warner CableのBritt氏は、自分の会社が、昔の電話会社のような規制を受けるべきではないと述べる。
「規制は、慎重に導入しなければならない。どちらか一方に有利に働くような規制に対して、反対の声が上がるのは当然だ」と同氏は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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