カリフォルニア州マウンテンビュー発--NASAは米国時間3月7日、3種類の縮尺模型を使った次世代宇宙カプセルの実験を実施した。この実験は、初めて月に着陸したNeil Armstrong船長の言葉を借りれば、NASAにとっては小さな一歩だったが、人類にとっては大きな飛躍だったといえる。
その理由は、将来の有人宇宙飛行に向けた宇宙カプセルの開発において、この実験は非常に初期的な段階に属しているからだ。この日、NASAのエイムス研究センターの科学者たちは、いわゆる乗員輸送機(Crew Exploration Vehicle:CEV)の模型2種類を使い、一連の風洞実験を実施した。
実験に立ち会った一団は、人の声をかき消すほどのごう音をたてて風が風洞を突進する様子や、実験に備えて設置された1200ポンド(約540kg)のすばらしいシャトルの模型など、画期的ともいえるこの実験の舞台裏を垣間見ることができた。
「今回の実験は、次世代の乗員輸送機が航空力学的にどうなるかを初めて試したものだ」と、NASAエイムス研究所航空学責任者のThomas Edwards氏は述べた。Edwards氏によるとスペースシャトルは宇宙探査の初期時代の最終段階を意味するのに対し、CEVモデルは次の時代の幕開けだという。
研究所を訪れた訪問者にはこの日、マッハ1.55からマッハ2.6(マッハ1は音速と等しい)の風を起こすことができる9フィート×7フィート(約2.7m×2.1m)の超音速トンネルと、マッハ0.2からマッハ1.5の風を起こすトランソニックトンネルという2種類の風洞が披露された。
CEVの模型のうち2種類は、シャワーヘッドとよく似た形をしている。一方の模型は、実物の2.77%の大きさで、酸素に敏感なピンク色の塗料で覆われている。この模型は、最大マッハ2.6の風圧がカプセルに与える影響を測定するために設計されている。もう一方は、同じ大きさだが、光沢のある金属製の模型で、風洞内での揚力や抗力などを測定するために設計されている。
3種類目の模型は、実物の7%の大きさで、特殊な塗料で覆われている。紫外線をあてられた状態で、風洞内にある長いアームの先に取り付けられる。Edwards氏は、各模型は、宇宙空間内でカプセルに影響を与えると思われる異なる要素についてテストするために使用されると説明した。
「各模型は、幾何学的には同じだが、気流特性は異なる」とEdwards氏は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」