カリフォルニア州サンノゼ発--次回のスペースシャトル打ち上げに向けて訓練を続けている宇宙飛行士のなかには、さまざまなパワーツールを操作でき、体操選手よりも柔軟で、しかも足が1本しかない者がいる。
米航空宇宙局(NASA)は、宇宙空間での人間の支援を目的とした一連のロボットを開発中だ。同局では、そのうちの1つである「Robonaut」を約18カ月以内にシャトルに搭乗させたいと考えている。
また、NASAはほかにも、狭い空間に入り込んで写真撮影が可能な直径1センチメートルのロボットケーブル「Tendril」や、ゴルフカートほどの大きさで、宇宙飛行士や、彼らが呼吸する酸素や他の機器の移動に用いられる惑星探査用の4輪駆動車両「Scout」を開発している。
さらに、重量600ポンド(約270kg)ほどで、8本の足を持つクモ型のロボット「Spidernaut」もある。このロボットは、宇宙船の外側を這い回って修理作業にあたることになっている。Spidernautは人間よりもはるかに重いが、8本の足に重量を分散させて、2本足で歩く人間の足跡よりも、船体表面へのダメージが少ないように設計されている。
「600ポンドもあるクモがどこを歩くのかと思われるだろうが、このロボットはどこにでも行ける」と、ジョンソン宇宙センターのディレクター、Rob Ambroseは、米国時間9日に当地で幕を閉じた「Robonexus」カンファレンスでの講演で語った。
NASAは何年も前から火星探査車両のようなロボットを利用してきたが、現在はミッションが複雑化するのに合わせて、ロボット開発の取り組みを強化している。米政府は、今後数十年のうちに、火星上に人間を立たせ、また月面にロケット発射用の基地を建設したいと考えているが、これは簡単にいうと人間による月の征服を意味する。ロボットは、宇宙飛行中でも呼吸や食物摂取の必要がなく、筋力も低下しないことから、厳しい環境下でおおいに役立つと見られている。
Ambroseによると、人型ロボットのRobonautは、宇宙飛行士の助手のような働きをすることになるという。Robonautは2本の腕と手を使って、ドアを開けたり、ドリルを使用したり、はしごを登ったり、他の手作業をこなすことが可能だ。このロボットの頭部には、ステレオスコープのカメラと地表を照らし出すためのLEDライトが付属している。
Robonautは、宇宙空間での作業に必要とされるしかるべき装備をすべて自らの身体に携行するものと考えられる。人間は、ロボットに比べて動きもすばやく、手先も器用だが、限られた量の酸素しか携帯できないため、特定の船外作業をこなすだけで、後かたづけはRobonautにやらせることになるかもしれない。
同氏によると、コミュニケーションを簡単にとれるようにするため、ScoutやRobonautのようなシステムは、音声コマンドや身振りに反応することになるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス