必要悪か--有料の電子メール認証サービス、プロバイダ側の言い分 - (page 2)

文:Elinor Mills(CNET News.com)
編集校正:坂和敏(編集部)
2006年03月06日 21時53分

 第3段階では、企業はメールの受信を承諾している既存の顧客に対して、認証済みの電子メールを送信できるようになります。このサービスは、潜在顧客の掘り起こしを目的としたメールには利用できません。当社は各社企業のメール送信に関する評判をまとめたデータを管理しており、それをもとに、企業が本当にユーザーの承諾を得てメールを送っているかどうかを確認します。この段階に到達した企業は、顧客に送信するメールに「トークン」を挿入できるようになります。

-- 一連の流れのなかで、御社はどのような役割を果たしているのですか。

 信用の仲介機関です。当社がメールの宛先や本文を見ることはありません。当社を通して、メールが送信されるわけでもありません。しかし、企業が送信するメールには、当社が提供する暗号化されたトークンが「X-Header」として埋め込まれます。このトークンは個別のメールごとに異なっており、非常に重要なセキュリティ機能を果たします。このトークンを利用することで、メールの配信状況を追跡し、認証済みメールの送信数を正確に把握することができます。受信側のISPは、このトークンを簡単に検出することができます。ISPはトークンの有効性を確認した上で、有効なものについては、適格企業から送信された認証済みメールにのみ適用される特別措置を適用します。

--ユーザーはこれまでと同じように電子メールを利用できるのですか。AOLやYahooのメールユーザーには何かが違っていることがわかるようになりますか。

 非常によい質問です。AOL、Yahoo、そして今後このサービスを導入するメールサービス・プロバイダーのメール画面にアクセスすると、受信一覧に並んでいる認証済みメールの横に、特別なアイコンが表示されます。封筒に青いリボンが付いているアイコンです。そして、メールを開くと、メールの文中ではなく、枠の部分の目立つ場所にこのアイコンが表示されます。ぱっと見ただけで、そのメールが認証済みのものかどうかを確認できるようにするつもりです。当社が独自に実施した調査では、ユーザーはメールが本物か偽物かを一目で判断できるような、非常にシンプルな仕組みを求めていることが分かりました。われわれが提供しようとしているのは、まさにそうしたサービスです。

--エンドユーザーは何もする必要はないということですか。

 そうです。アイコンはメールの文中ではなく、メール画面のインターフェース部分に目立つように表示されます。メールの文中には、送信者が偽のアイコンを埋め込むことができるからです。メールが認証済みであることを示すアイコンは、文中ではなく、受信一覧のタイトルの横に表示されることを、ユーザーに周知していきたいと思っています。

--誰が、誰に、どの程度の料金を支払うのですか。

 料金を支払うのは、このサービスを利用する企業です。これは任意のサービスです。従来のやり方でメールを送信したい企業は、もちろん、そうすることができます。料金はまだ確定していませんが、メール1通当たり0.25セントほどになる予定です。それだけの価値がないと思うなら、このサービスを利用しなくても構いません。しかし、このサービスがもたらすメリットはきわめて大きいと考えています。

--なぜですか。

 このサービスを利用すれば、信頼できる企業がシステムの規則に従って送信した正規のメールを見分けることができるからです。こうした企業には、その他大勢の企業には提供できない特権を与えることができます。スパムフィルターを通さずに、ユーザーの受信箱に直接、その企業のメールを届けることも、そのひとつです。

 これらの企業がシステムの規定を順守しているかどうかは、受信者からのクレームの割合で判断します。その後、そのメールがユーザーの受信箱に配信されたことを示す証明書を、メッセージIDごとに提供します。配信されなかった場合は、エラーメッセージの内容と不達の理由を報告します。

--利益の一部は、メールプロバイダーやメールサービスプロバイダーにも配分するのですか。

 その予定です。これは重要なポイントです。ユーザーの受信箱をクリーンに保つコストは、メールサービス・プロバイダーが負担しています。電子メールは無料の媒体ではありません。ある意味では、受信側がコストを負担する媒体です。電子メールのコストは、以前は非常に安価でした。しかし、現在はスパム、フィッシング、ウィルスといった問題があるため、プロバイダーはその対策にかなりの金額を投じています。

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